引退秒読み、新幹線700系「カモノハシ」の20年 東海道新幹線の「第2の開業」支えた立役者

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東海道新幹線からの引退を前に特別装飾が施された「700系」車両(記者撮影)

東海道新幹線で約20年の間活躍した「700系」車両が姿を消す。長い鼻先と下膨れしたような顔立ちが特徴で“カモノハシ”の愛称で親しまれてきた車両だ。JR東海は2月12日から同社保有の700系2編成の車体を「ありがとう」の文字を入れたヘッドマークや側面のステッカーで装飾。3月8日の完全引退に花を添える。

快適性を向上させた「700系」

引退イベントの担当者、新幹線鉄道事業本部営業課の延原正蔵さんは新幹線の運転士経験がある。「見習い期間が終わってひとりでハンドルを握ったのが700系。動かした瞬間は今までの乗務員人生でいちばん印象に残っている」と話す。「ラストランは出発式もあるので最高の状態で見送ってもらいたい」という。

700系はすでに2019年12月1日、東海道新幹線での定期運用を終了している。JR東海所有のC編成(0番台)だけでなくJR西日本のB編成(3000番台)でも廃車が進んでいるが、山陽新幹線の「ひかりレールスター」や「こだま」で使用する8両編成のE編成(7000番台)はしばらく健在のようだ。

700系車両の前面に「ありがとう」の文字を入れた(記者撮影)

JR東海で計60編成を導入した700系は1999年3月、初代のぞみ「300系」の後継として登場した。“鉄仮面”の愛称もあった300系は、“団子鼻”で親しまれた初代の「0系」や、0系をモデルチェンジして高速鉄道初の2階建車両を組み込んだ「100系」に比べて大幅なスピードアップを実現。時速270kmでの営業運転を可能にした。16両編成の座席数が現在の1323席になったのは300系からだ。

300系が車両スピードアップの立役者だったのに対し、700系の開発では高速走行で生じる騒音・振動を低減して、乗り心地の向上と環境面に配慮することに重点が置かれた。カモノハシの形状もこの課題に取り組む過程で生まれたものだ。

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