引退秒読み、新幹線700系「カモノハシ」の20年 東海道新幹線の「第2の開業」支えた立役者

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カモノハシを連想させる700系の先頭形状は正式には「エアロストリーム」と呼ぶ。トンネルに突入する際に衝撃音を発生させる「微気圧波」を低減させ、明るく開放感がある客室空間を確保するために「風洞実験やコンピュータシミュレーションを繰り返した」(JR東海)という。この形状は最後尾で「蛇行動」と呼ぶ横揺れを抑えるのにも役立った。

乗り心地の向上に重点

700系を始め、いくつもの新幹線の開発に携わった工業デザイナーの福田哲夫さんは著書の中で「生物のしくみが発想の素となっている人工物は数多い。だが、700系新幹線車両の場合には、逆の発想であった。くさび型と翼型という基礎的な二つの形態を組み合わせたカタチは、当初から“音を減らす”という命題を考え抜いた結果である」(『新幹線をデザインする仕事』SBクリエイティブ)と振り返る。

ユニークな先頭形状に加え、車体の揺れを感知して抑制する「セミアクティブ制振制御システム」や、隣り合った車体を連結して左右・前後の動きを安定させる「車体間ダンパ」など、先進的な技術の採用で乗り心地の改善に工夫が凝らされた。車内空間も、空調の吹き出し口を荷物棚の下に設けることで天井を高くするなど、快適性を向上させた。

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