7月デビュー、「N700S」の見逃せない車内設備 全席コンセント以外に、足元や頭上も進化
グリーン車設備で大型化されているものはそれだけではない。ひじ掛けに収納されている中型のテーブルもN700Aより20%大型化された。飲み物とサンドイッチくらいならこのテーブルで事足りそうだ。もちろん席の前方にはより大きなテーブルが設置されている。また前面の網袋もN700Aよりサイズアップした。
N700Sグリーン車のシートはN700Aと同様、背もたれと連動して座面が深く沈み込むが、リクライニングの回転中心が腰付近から足元へと変わった。これによりさらに疲れにくい座り心地になっているという。
さらにグリーン車には、ポンプで力を発生させて動揺を打ち消す「フルアクティブ制振制御装置」を新たに搭載しており、体に感じる横揺れが少なくなった。特に線路のポイント(渡り線)を通過する際などにN700Aグリーン車との違いを実感した。
「かゆい所に手が届く」進化
新幹線車両の多くは、窓下にペットボトルなどの飲み物が置ける程度の小さなテーブルが付いている。
N700Aにも備わっているが、グリーン車・普通車ともにカーテンを閉めるとテーブル面積が狭くなり、飲み物を安定して置くことができなかった。N700Sではこれが改良され、カーテンを閉めても飲み物が安定して置けるようになった。まさに『かゆい所に手が届く』進化だ。
目線をもう少し引いて、窓の周りを見てみる。N700Aにあった個別の空調吹出口は無くなっている。まるで飛行機のような形状に変わった壁パネルは、空調吹出口と一体となっており広い吹出口を確保。これによって室内の温度がより均一になるようになったのもポイントだ。
新幹線が次の停車駅に着く際には、車内メロディーが流れたのちに到着放送、そしてしばらくしてホームに滑り込む。N700Sではそれだけではなく、到着前に座席の上にある荷棚周りの照度が上がり、乗客に荷棚にある荷物への注意を促すという機能が加わった。試乗会で観察したところ、車内メロディーが流れ終わったくらいで照度が上がる。荷棚周りを中心に車内全体がフワッと明るくなる印象だ。
荷棚に置けない「特大荷物」(3辺合計が160cm超、250cm以内)についてJR東海などは、2020年5月から一部号車の客室内の最後部座席後ろを「荷物スペース」(事前予約制)として設定した。N700Sはデッキ部にも「特大荷物コーナー」がすでに設置されている。運用開始は2023年度のため、まだ利用はできず「業務用」というステッカーが貼られている。
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