見合い賛美の理由、恋愛結婚が増えたのに?! ”幸せな結婚”はどこに? 恋愛ハウツーと結婚式ハウツーの間

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恋愛結婚が増加しているのに、見合い賛美?

そもそも結婚自体が一種の社会的規範である以上、その伝統的規範に身の丈を合わせようとする性格を『結婚潮流』が持つことは否めない。

『結婚潮流』1983年3月創刊号の特集

だから、VIVA恋愛結婚! とにかく恋愛しよう、とはならない。創刊号の特集が「見合い市場と恋愛市場の損得勘定」だったことからもうかがえるとおり、見合い結婚と恋愛結婚はあくまで手段として等価だったのである。

とはいえ、これも2年後と比較すれば、恋愛結婚に高い評価を与えていたほうだと言わなきゃならない。のちの『結婚潮流』は、恋愛結婚が増加していた現実にもかかわらず、まるで見合い賛美のような論調に流れてゆくからだ。

個人名を出すのは差し控えるが、つまらない保守的ジャーナリストが主要な位置を占め続け、1985年6月号の編集後記では、男性と思われる編集者が「若い人々は大いに見合いをして、一生を通じての素晴らしい伴侶を見つけてください」と書くに至る。売りだったハズの若い女性編集陣のパワーはどこへやら、これではまるで中年オヤジによる保守的結婚の唱導である。

若い女性による「いかに幸せな結婚をするか」への模索は、恋愛を主体とする女性誌の言説と、中年オヤジの保守的お見合い結婚論とに分断・回収されていったのである。この『結婚潮流』の凋落は、常見が指摘したような、恋愛ハウツーが娯楽化してしまった1980~1990年代の風潮と見事に一致している。

こうして見ると、21世紀の婚活ブームとは、単なる社会的要請にとどまらず、一種の思想的回帰であると見ることができるかもしれない。というのも、婚活ブームという社会現象は、幸せな結婚を模索するという意味において、1980年代に失われた潮流を継受することになったからである。


「週刊東洋経済」2014/4/12号:いま買える株 買えない株
 

榛原 赤人
はいばら あかひと / Akahito Haibara

1988年生まれ。都内某大学院の社会科学分野博士課程に在籍。17歳の頃から結婚をめぐるもろもろに関心を持ち、婚活ブーム以降は、その思想的背景に注目して、机上での結婚探求を行っている。
 

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