就活と婚活、決定的な違いはどこにあるか? 「求めよ、されど……」の時代を生きる、若者たちの理想と意志

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早めの妊活、早めの婚活、理想の未来のための就活

就活・妊活・婚活。一応説明しておくと、それぞれ就職活動・妊娠(のための)活動・結婚活動の略である。これらを三大「活」と呼んで推奨してきたのがジャーナリストの白河桃子だ。

社会学者の山田昌弘とともに婚活を提唱した彼女は、婚活を妊活の序章と位置づけた。そして女性が子どもを産み・育てるには職場の「風土」が重要だという観点から、最近では就活についても積極的に発言している。婚活という用語自体が就活との比喩によってつくられたことを思えば、彼女は一回りして里帰りしたわけである。

彼女がこの三つの「活」に込める意味はというと、受け身で待っていてもはじまらない、だから「意志」を持って活動する必要がある、ということだ。特に就活と婚活については、社会のシステム自体が以前と変わってしまったのだから、もはや受け身ではいられないのだという。

彼女の主張にはうなずかされるところが多い。女性に妊娠適齢期がある以上、子どもが欲しいなら早めに妊活を始めたほうがよい。そのためには、婚活も早くからするべきだし、そうして家庭を持つためには、経済的な観点から見て、はじめから出産や育児に優しい企業に入って、産後の「ワークダウン」も視野に入れるなど、生涯共働きできるような就活をすべき。

なるほどなるほど……え?

いまの就活生とおなじ20代として引っかかってしまうのはこういうところだ。そもそも、就活が必要になった、つまりエントリーシートを大量に書いて、ヒールをすり減らしながら面接に通い、企業に頭を下げる、そんな努力が必要になった背景には就職氷河期がある。

多くの就活生は企業を選んでなんていられない。就きたい業種や、相対的に望ましい企業はもちろんあるけれど、とにかくどこでもいいからブラックじゃない企業に入りたい。それが多くの就活生たちの切実な願いなのだ。

まっとうに見える白河の主張は、実際には就職企業への要求を高騰させて、一転「どうせそんな『イイ』キャリアは得られないんだからあきらめよっ」という結果を招いてしまいそうな危惧を感じさせる。結果的には、親世代と同じ「昭和婚」だと白河たちが批判していた新専業主婦願望への誘い水になっているようにも見えるのだ。

確かに、世の中には出産・育児をするお母さん(と時々お父さん)に優しい企業が存在するし、そうした企業に就職できる恵まれた就活生もいる。ほかにも、ハッキリとした目標を持って自らそういった職場をつくってゆける若者もいる。けれど、それって少数派なんじゃないだろうか?

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