パナソニック「10年の計」--三洋買収でついに始動、ポストデジタル家電の“飯の種”

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 また、三洋の強力な太陽電池を取り込むことは、パナソニックにとって太陽電池事業への再挑戦を意味する。実は63年から約40年間、同社は「サンセラム」という名前の薄膜太陽電池を事業化していた。太陽電池に関する特許出願件数が90~00年累計151件と同業最多を誇り、技術力で業界をリードしていたものの、収益軌道には乗らず、02年に事業中止に追い込まれた経緯がある。

当時は一転して燃料電池開発に傾注したが、その後、撤退した太陽電池のほうが需要は急拡大し、大きな誤算となった。中心となって携わったエンジニアはすでに社を去ったが、三洋買収によって再び太陽電池に参入する糸口を得た。

競合他社も警戒 太陽電池再参入の威力

現在、住宅用太陽光発電市場の8割は既存住宅向けが占めている。したがってパナソニックとしては、省エネマネジメントシステムを長期的視野に収めつつ、当面は住宅屋根市場の取り込みが課題になる。この点、グループのパナソニック電工が擁する強力な販売網が威力を増す。

「三洋の太陽光を当社の住宅向け販売チャネルに載せて売れば、有利なポジションに立てる」と畑中浩一社長が強調するとおり、パナソニック電工は主力の住宅設備、照明器具を通じて、街の工務店、電気工事店とのつながりが深い。特に系列色が強い店は全国で7200店に及ぶという。三洋電機の既存販売網とダブりもあるため単純上乗せとはいかないが、そのチャネル数は優位だ。

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