パナソニック「10年の計」--三洋買収でついに始動、ポストデジタル家電の“飯の種”


 パナソニック電工のインフラ活用は、営業網というハードの拡大だけでなく、ソフト面で得る点も多い。

たとえば、パナソニック電工独自の研修施設「電化道場」で実施している、オール電化機器の研修プログラム。一般的なメーカー研修は商品知識のレクチャーにとどまる場合が多いが、ここでは提案営業や経営管理の手法など、広範囲な研修が実施されている。「オール電化のような工事を伴う製品の場合、顧客目線でしっかり説明できる売り方が最重要」(パナソニック電工で研修を担当する藤山芳美氏)なためだ。

すでに現時点でも、この販売基盤の厚みを武器に、オール電化におけるパナソニックのシェアはIHクッキングヒーターで5割強、エコキュートで3割弱など、軒並み国内首位。しかもその比率は年々高まっている。近いうちに、電化道場でも太陽光発電を含めた販売研修が本格化する。ある太陽電池メーカーの首脳はこうつぶやく。「地域密着で各家庭をフォローするあの販売網を太陽電池に使われたら、脅威に感じないと言えば、ウソになる」。

太陽電池を核とする「エナジー」商品を新たな成長の種と位置づけ、付加価値の高い「ソリューション」型ビジネスを中長期視野で推進する。これが新生パナソニックの戦略だ。もちろん平坦な道ではない。まずは三洋との重複事業の整理という緊急課題がある。「われわれからはあえて積極的に(事業整理を)行う気はない」(佐野精一郎・三洋電機社長)と、三洋側のプライドもある。ポストデジタル家電という新たなステージにいち早く立つことができるか。パナソニックの次なる「10年の計」が試されようとしている。

■パナソニックの業績予想、会社概要はこちら

(西澤佑介 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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