パナソニック「10年の計」--三洋買収でついに始動、ポストデジタル家電の“飯の種”
「当社は今後、エナジー、環境マネジメントに絡んだ事業に本腰を入れていく。そのうえでもソリューション事業の重要性は増してくる」と、山本賢一郎・システム・設備事業推進本部チームリーダーは話す。
今年4月には「改正省エネ法」が施行になり、住宅やオフィス、ひいてはコミュニティ単位でのCO2排出削減がより現実的なテーマとなる。その際、家電単品で環境性能を競うだけでは不十分。太陽光発電や蓄電池、空調、給湯機器などをネットワークでつないで、全エネルギー消費(発電)量を“見える化”するニーズが生まれる。そこで有望になるのが、顧客の使用特性に沿ってそれぞれの機器をより効率運用する自動制御システムの提案だ。下図は住宅用のシステムをイメージ化したものだが、この、家全体の電気システムをパナソニック系列に塗り替えることが、ソリューション事業が目指す一つの理想型になるだろう。
三洋電機の子会社化で、店舗ショーケースや業務用空調など、パナソニックが弱く三洋電機が強い分野を補完できることも大きな追い風だ。とりわけモノを言うのは、三洋電気の太陽電池を獲得することである。
業界シェアこそ世界3%弱(08年)とまだ小さいが、三洋の独自技術には定評がある。「HIT」と呼ばれる三洋電機の太陽電池の強みは、その性能の高さ。エネルギー変換効率は現在世界最高(量産レベル)の20%を誇る。セルが固有の複雑な形状をしているため、価格競争力で若干劣るが、面積当たり発電量が大きいので、電力会社への売電による収入が相対的に高く、他の太陽電池では不適だった日陰や曇りがちな場所にも設置が可能だ。「HITは、住宅の屋根用としては最適な電池」と、脇坂健一郎・三洋電機ソーラー事業部事業企画部長は話す。