パナソニック「10年の計」--三洋買収でついに始動、ポストデジタル家電の“飯の種”


 たとえば、業務用機器部門で作っていたカメラと固定通信機器部門で作っていたカメラは、同じパナソニック製にもかかわらず相互に接続できなかった。販売窓口も部門ごとにタコツボ化され、同じ法人顧客にAV、照明、空調など各部門がバラバラで営業するなどの問題があった。

原因の一つは、03年に移行した全14事業部門の社内分社体制にある。狙いであった各分社ごとの経営責任の明確化と製品力強化にはある程度奏功したものの、各分社間の横のつながりは逆に希薄になっていた。

このタコツボ化問題を緩和し、ソリューション型営業に舵を切るため、同社は昨年「システム・設備事業推進本部」を設立した。ここが大手法人顧客の対応窓口を担うとともに、自社製品をパッケージ化した商品企画を行っている。具体例として現在、国内ホテル大手と共同で通信機器や警報機器、カメラなどを組み合わせた防犯パッケージシステムの企画を進めている。ほかにも学校用、店舗用などに専用のシステム製品を実用化することも検討している。
 
エネルギー、環境ソリューション型へ舵

パッケージ化のメリットは、家電単品販売では日常茶飯事だった量販店の値引き競争を回避できること。さらに、顧客へのコンサルティングや保守・サービスで付加価値を積み増すことができる。収益構造を一変させる可能性を秘めているのだ。

このソリューション事業戦略を考えるうえで重要な先例となったのが、1990年代における米IBMの体験だ。主力製品だったメインフレームのビジネスが陳腐化し収益が急落、倒産すらささやかれたIBMが復活したカギも、ソリューション型への転換だった。

93年に同社CEOに就任したルイス・ガースナーは、ハードウエア単品の製造を行う事業から、付加価値が高く顧客に応じて各製品を組むシステム構築に保守・サービスを組み込んだビジネスモデルへ軸足を移した。結果、業績は好転し、IBMの株価は経営危機時の水準の約10倍にハネ上がった。

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