英国のワーママから見えてくる新日常と不安

自宅待機で収入2割減、節約、働き方模索

待機ワーママのいちばんの不安は、自宅待機からそのまま解雇になってしまわないかという心配です。休業が続いた結果、経営縮小したり倒産したりする会社や、立て直す目処が立たないと廃業を決めた店も出ています。自宅待機から解雇になった場合、補償支払いは止まり失業保険に変わりますが、こちらはより低い金額。新たな職探しといっても簡単に次の仕事は見つからないでしょう。

配偶者も同じように自宅待機している家庭では、先行きへの不安を隠して、なんとか笑顔で子どもたちと遊ぶワーママの姿もあります。

在勤では、今までと同じ給料をもらえている例が過半数です。ロックダウンから数週間は毎日の通勤通学がなくなりストレス激減!と喜んでいましたが、実際に在宅勤務が始まるとワーママたちは頭を抱え始めました。学校も託児施設も閉鎖され、ベビーシッターやナニーを家に入れるのは禁じられている中で、家事と育児をこなしながら仕事時間を捻出するのは容易ではないのは、どこの国でも同じこと。

「ママは13時45分から会議中、入室禁止」と部屋のドアに張り紙をするワーママ(写真:Domani)

例えばオンライン会議の間パパが小さい子どもの面倒を見ていてくれても、ママのほうがいいと大泣き。外食できないので毎日の食事作りにも時間を取られます。シングル親の家庭ではなおさら大変な現実が。

こうして仕事が進まない日々が続くと、独身の同僚や自宅待機中の夫がサポートしてくれる家庭と比べ仕事力の差が開いてきたのは上司から見ても明らか。コロナ不況の影響でリストラ実施を検討している会社が増える中、ワーママ(とくに家人のサポートを期待できない状況のママ)たちは子どもの就寝時間を早めて夜に仕事をするなど工夫し、仕事の質を落とさないよう必死で奮闘しています。

本当の働き方改革が始まる?

とはいえ、ロックダウンから3カ月近くが経ち、多くのワーママがただ不安に怯えているだけではだめとポジティブな気持ちを奮い起こしています。今こそ、「自分にとって仕事とは、家庭とはなんなのだろう」と改めて働き方を見直す機会と捉えているのです。

ロックダウンでワークライフが激変した中、子どもと向き合う時間と質が向上したことは、すべてのワーママが最も評価し歓迎しているポイントです。今までは仕事に追われなかなか一緒にできなかった工作やお散歩などを通してのコミニュケーションが増え、見すごしていた子どもの成長がしっかり感じられるようになったという声が聞かれます。

会社のほうも、オフィスに毎日集まることを前提としない働き方の模索を始めています。コロナ禍が収まった頃には、もしかしたらワーママたちがもっとフレキシブルに働ける社会に向かっているかもしれません。

構成/Hiromi Hosaka

冨久岡ナヲ(フクオカ・ナヲ)
ロンドン在住。ジャーナリスト、コーディネーター、イベント制作など、いくつもの業種をこなす。ふたつの国のいいところを伝えていきたい。
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