あのワークマンがコロナ禍でつかんだ自信 快進撃の立役者である土屋哲雄専務を直撃

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確かに普通のアパレルだと、家賃は売り上げの10%近くかかるテナントも多い。だからこちらが「3%を切る家賃で」と条件を出すと、今まではモール側もあきれて話を持ってこなかった。ところがコロナの後、声がかかるようになった。

つちや・てつお●1952年生まれ。東京大学経済学部卒業後、1975年に三井物産入社。1988年三井物産デジタル社長、2006年三井情報取締役執行役員などを経て、2012年4月にワークマン常勤顧問に就任。2012年6月常務取締役、2019年6月から現職(撮影:尾形文繁)

今、モールからのオファーがすごいんですよ。それで昨日と今日は5カ所くらいモールを見てきた。やはり(コロナの影響もあり)テナントが撤退して売り場が空くと困るのだろう。

――しかし、3密を回避する向きもあり、モール自体の集客力の低下も懸念されます。モールへの出店はリスクになりませんか。

うちは全部自分たちの力で集客するから、モールの集客力は必要ない。何を買うか決めてモールに来る人は減っているけど、ワークマンに来る人はほとんどが目的買い。

「ららぽーと立川立飛」(東京都立川市)にワークマンプラスの1号店を出店したときも、うちの店でららぽーとのカードを使った人はすごく少なかった。これまでららぽーとに来なかったお客さんをうちが引き込んだ、と見ている。

ワークマンの路面店は店が汚れているところもあるけれど、モールはきれいですよね。モールに出るのは売り上げなんかよりも、「きれいな店をお客さんに見せたい」という目的が大きい。

路面店から一般客を吸い上げたい

――広告塔のような役割ですね。

それを路面店と同じ採算でやる。(モールの店舗はフランチャイズではなく)直営店になるけど、当社にモールの店舗の運営ノウハウは(社内に蓄積する)必要はないから、委託会社に任せる。

あと、モールに出ることで路面店から一般客を吸い上げたい。路面店では、プロ客の駐車は10分ぐらいだが、一般客は(滞在時間が長くて)30分駐車する。そうすると駐車場が混んでしまい、プロ客が逃げてしまうこともあった。そうならないために、一般客を路面店から吸い上げる目的もモール出店にはある。

――現在、モールへの出店は10店程度ですが、例えばモール店が店舗全体の半分くらいになるまで増やすのですか?

そこまでやったら危険。今回みたいなこと(外的要因で休業や大幅な客数減を余儀なくされること)になる可能性もある。せいぜい全体の10%までとか、そういう制限は付けようと思う。

「週刊東洋経済プラス」のインタビューでは、「コロナ前後で変わった仕事のやり方」「ネット通販に対する考え」「コロナ後の商品戦略や課題」「ユニクロとワークマンの違い」についても詳細に語っている。
真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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