飲酒に厳しいイスラム教徒「消毒液」使用の是非

アルコール成分を禁じる動きも出てきている

宗教上の理由でお酒に厳格なイスラム教徒ですが、除菌用に使うことは問題ないのでしょうか(写真:metamorworks /PIXTA)
日本在住の外国人が増える中、彼らが信仰する宗教によっては生活習慣などに配慮する必要があります。特にお酒の扱いが地域によって異なるイスラム教徒に対しては、料理など判断にも迷う部分も多くあります。島田裕巳著『宗教別 おもてなしマニュアル』を一部抜粋・再構成し、アルコール類の利用に関しておさえておきたいポイントを紹介します。

酒を飲むか、飲まないかについては、同じイスラム教の国でも、国によって状況は異なる。飲酒が全面的に禁止されている国もあれば、そうでない国もある。

イスラム教徒をもてなすという観点からすれば、酒を出すかどうかはさほど大きな問題にはならない。豚肉の場合には、はっきりとわからず、それが紛れ込んでいる場合もあるが、酒だとそうはならないからだ。イスラム教徒以外の人間のなかにも、酒を飲まない人たちがいる。そうした人たちは、宴席ではソフトドリンクを飲む。

ところが、最近では、イスラム教の国、あるいは信者のなかに、飲酒だけではなく、アルコールを成分として含むものも禁じるという動きが生まれている。

アルコールの除菌を良しとしない人も

たとえば、アルコールによる除菌もまかりならぬとする人たちがいるのだ。飲食店だと、消毒にアルコールを使う。それがだめだというのである。これは、ハラール認証がはじまったことで生まれてきたもので、突き詰めていくと、いかなるアルコールの使用も排除されることになる。

そうしたことは『クルアーン』には書かれていない。ムハンマドの言行録である『ハディース』にも出てこない。ただ、『ハディース』においては、礼拝を行うときに、いかに浄(きよ)めるかということが事細かに書かれている。

だからこそ、東京ジャーミイには清め所があり、礼拝の前にはそこで手足と顔を浄めることになっている。浄める部分は異なるが、神社の手水舎(てみずしゃ)で浄めるのと意味は同じである。

『ハディース』の「浄めの書」では、冒頭に、これに関連する神のことば、「汝ら、礼拝のために立ち上がる場合は、先ず顔を洗い、次に両手を肘まで洗え。それから頭をこすり、両足をくるぶしまでこすれ」が載せられている(『ハディースⅠ イスラーム伝承集成』牧野信也訳、中公文庫)。

消毒にまでアルコールを用いてはならないということに関連して、次のような話が伝えられている。それは、「酒やその他アルコール飲料で浄めを行うことは許されない。アル・ハサンとアブ・ル・アーリヤはそのようなものを斥(しりぞ)ける。アターは、酒やミルクで浄めるより砂でこする方が好ましい、と言った」という話である。

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