北京で新型コロナが「再燃」、感染ルートの謎 現地では「欧州から流入」説が広がっている

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これまでにわかっている情報では、今回の北京での感染拡大の再燃は主に新発地市場周辺で起こっている。6月14日13時までに、すでに累計で62人の感染者が報告され、そのすべてに新発地市場での活動歴、または市場関係者との接触歴があった。

張文宏氏は「すべての患者が新発地市場と関係があり、感染ルートが不明な患者もいない。これは感染拡大の早期であることを意味する。現在の処置能力とスピードをもってすれば、今回の感染拡大は防ぐことができる」と語る。しかし同時に「新発地市場には驚くほど多くの人が出入りしていた。今後新たな感染爆発地が出てくるかどうかは、今のところ知る由もない」ともコメントしている。

今回の感染はすでに河北省と遼寧省にまで波及している。河北省衛生健康委員会が15日に行った発表によれば、河北省では14日に新型コロナの感染者が3人確認されており、いずれも北京で感染が確認された患者との濃厚接触者であることがわかっている。遼寧省衛生健康委員会も14日に2人の感染者が確認されたことを発表しており、河北省と同様に北京の患者との濃厚接触歴がある。

いつでも再燃する危険性がある

北京以外の省で確認された症例について、前出の北京市疾病予防管理センターの関係者は「これについては局所的な考え方をするべきではない。全員が目を光らせ、何か異常があれば、一人ひとり隔離を行う必要がある」と話す。

楊鵬氏は「中国人は血清中に含まれる新型コロナへの抗体が非常に少なく、免疫力に乏しい。さらにこのウイルスはヒトからヒトへの感染を引き起こす力と季節に影響されないという特徴を持っているため、いつでも再燃する危険性がある」と語る。

「現在のところ、依然として厳しい状況にある。感染予防対策にはまだ不確定性が存在するのだ」。国家衛生健康委員会の文書はそう強調している。

(財新記者:趙今朝、馬丹萌)
※原文記事は6月15日に公開

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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