北京で新型コロナが「再燃」、感染ルートの謎 現地では「欧州から流入」説が広がっている

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北京市内の体育場で新型コロナの検査を受けるため並ぶ市民たち(写真:財新提供)
北京で懸念される新型コロナウイルス感染拡大の「第二波」。現時点でのウイルスサンプルの解析結果から、その遺伝子の系統は欧州由来のものということが判明している。ただウイルスが直接欧州から持ち込まれたと判断するには時期尚早と言えそうだ。調査報道メディア「財新」の取材班が現地での感染ルートに迫った。

ここ数日、北京における新型コロナウイルスの感染が勢いを増している。(6月14日までの)4日間で79人の陽性患者が確認された。感染状況の急変により、全国で感染拡大の阻止へ神経を尖らせている。

今回のウイルスはいったいどこから来たのか?現時点での遺伝子解析の結果では、ウイルスの遺伝子変異の系統は欧州から分岐したものに属することが判明している。しかし、単に「欧州起源」と述べるのはあまりにも大雑把で、誤解を招く恐れがあると専門家は指摘する。

6月15日、中国疾病予防管理センターは同センター主催の会議において、3日前にウイルス感染が発生した地区において実験施設を立ち上げ、北京での核酸検査(PCR検査など)を1000件余り実施したことを明らかにした。6月13日には、関係する感染サンプルのすべての遺伝子と遺伝子配列の測定・解析をすでに完了し、初期段階の見解を示している。現在はウイルスの感染源を究明中だ。

ウイルスは欧州から流入したのか?

新しい感染例についてすでに公表された疫学的な調査の結果はすべて、新発地卸売市場(訳注:北京市南西部の豊台区にある北京最大の農産物卸売市場)が感染源であることを指し示している。「新発地市場がウイルスの感染源を疫学的に調査する上で、もっとも重要なポイントだ」と、共産党北京市委員会宣伝部副部長である徐和建氏は北京で開かれた記者会見で述べている。

本記事は「財新」の提供記事です

現在すでに遺伝子解析が完了したウイルスサンプルの系統については基本的に専門家の意見が一致する。北京市疾病予防管理センターの研究員である楊鵬氏は、6月14日夜に中国中央テレビ(CCTV)のインタビューを受け、「すべての遺伝子解析の結果、ウイルスは欧州方面のものであることがわかった。初期段階での見解としては、感染源は国外から持ち込まれたものに関連すると考えられる」と述べた。

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