北京で新型コロナが「再燃」、感染ルートの謎 現地では「欧州から流入」説が広がっている

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一方で、まだ調査を進めている段階にあり、「ウイルスがどこから来たのかはまだ確定はできない。汚染された海産物または肉類かもしれず、あるいは市場に出入りする人物を介してその分泌物から感染が拡大したのかもしれない」と言う。中国疾病予防管理センターの首席研究員である曾光氏も、6月13日に、「初期段階の判断ではウイルスは国外から来たと考えられるが、サンプルの数がまだ少ない」と述べた。

北京市衛生健康委員会の関係者は財新の取材に対して、「これは専門家が持つ科学的な考え方にすぎない」と答える。科学的にはさまざまな考え方があるが、政府機関が対外的に情報発表を行う場合はとても慎重になる。「専門家の認識を、衛生健康委員会の公式見解と見なしてはいけない」。6月15日午前、北京市の記者会見においても、ウイルスの感染源についてはまだ何も発表されていない。

「ウイルスの遺伝子は欧州由来のものだ」というおおざっぱな説明は、新発地市場で発生した感染が欧州から直接もたらされたものだとの印象を与えてしまう懸念もあると、中国疾病予防管理センターの専門家は指摘する。

「遺伝子上、欧州で変異したウイルスの系統に属すると言っても、中国の東北地区や内モンゴル地区からウイルスが入ってきて感染が拡大するケースでも、それは欧州の系統から分岐していると言えるからだ」

黒竜江省で再燃したウイルスも欧州由来

先日、新型コロナの感染が「再燃」した黒竜江省の牡丹江市のウイルスは欧州から来たものだったと考えられている。5月25日から6月1日にかけて、5人の感染患者が次々に見つかり、市内全域でスクリーニング検査が行われた。

牡丹江市長の王文力氏は、6月8日の記者会見で、「ウイルスの遺伝子解析によると、牡丹江市の無症状感染者のウイルス遺伝子は欧州由来のL型であり、同市が管轄する綏芬河市で国外から流入したウイルスとよく似ていた」と発表している。

北京市疾病予防管理センターの初期段階における見解は、どの程度の数のサンプルに基づくものかはっきりとはわからない。(上海復旦大学付属)華山病院の感染科主任である張文宏医師は、感染源の解明にはより多くのデータが必要であり、現場における詳しい疫学上のデータとすべての遺伝子配列データの解析が必要だと考えている。「今、判断を下すのは時期尚早だ」(張文宏氏)

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