Jリーグ再開でも続くクラブ経営の厳しい行方 人気チーム浦和レッズで10億円赤字の可能性

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2月、今シーズンの浦和レッズの開幕戦にかけつけたサポーター(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2月21~23日のJリーグ開幕節直後から休止期間に突入しているJリーグ。

当初は3月再開を目指していたが、事態の悪化によって何度も延期され、6月27日にJ2リーグの再開が決定。同日にJ3リーグも開幕し、J1は7月4日再開という運びになった。

「移動リスクを最小限にするため、再開当初は無観客(新名称=リモートマッチ)で、近隣同士の対戦を優先する」という専門家の方針を受け、6月15日には新たに組み直した日程を発表。2019年J1王者の横浜F・マリノスは浦和レッズとの対戦からスタートすることになった。

最初は無観客、徐々に観客を入れていくが…

12日に発表された「Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」では、PCR検査体制の確立やスタジアム入場制限、選手・スタッフの社会的距離の維持やマスクの着用、飲水ボトルの共用回避などさまざまな対策が定められた。当面はそれを遵守しながら、慎重に試合運営を進めていくことになる。

最大の懸案である観客動員についても、7月10日までは無観客、7月10日から7月末まで最大5000人(超厳戒態勢時)、8月1日以降はスタジアム収容人員の50%の観客数(厳戒態勢時)と段階的にフェーズを上げる形で入れていく方向だ。

ただ、再開節に6万3700人収容の埼玉スタジアムで横浜戦という「ドル箱カード」をリモートマッチで開催する浦和にしてみれば、入場料収入を一切、得られないことになってしまう。約4万人収容の吹田スタジアムが毎回超満員になるセレッソ大阪との「大阪ダービー」を再開初戦で主催するガンバ大阪も同様だ。

浦和の立花洋一代表は10日のウェブ会見で「2019年度は82億円という過去最大の営業収益(売上高)を記録したものの、今季はコロナの影響で約20億円の売上減、入場料収入の13億円減を見込んでおり、10億円前後の赤字計上の可能性がある」というショッキングな事実を明らかにしたが、これは他チームも無視できない数字だ。

全国に56あるすべてのJクラブが経営面で甚大なダメージを被るのは間違いない。

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