コロナショック後のアメリカに訪れる暗い結末 80年周期の中での「4度目の転換期」が持つ意味

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ただし、残念だが、許されるかどうかは、パウエル議長が決められることではない。それは歴史が後から判断することだ。もし今回の救済が許されないことだったら、それは「今だけ金だけ自分だけ」のわれわれの後にやってくる。

それがちょうど300年前のミシシッピーバブル崩壊であり、100年前のドイツのハイパーインフレだ。もしもコロナの本当の恐ろしさがそこになるなら、そこでそれを突破しなければならない宿命を背負うのは、やはり今の若者たちである。だとしたら、なんという世代の不公平か。

アメリカのサイクルを論じた「4thターニング理論」

この、個人の力ではどうしようもない世の中のサイクル、世代の宿命を、早くから提唱したのが「4thターニング理論」だ。(1997年の同じタイトルの本から)個人的にこの理論を最初に紹介したのは2012年だった。東洋経済オンラインへの寄稿では、2016年の大統領選直前の寄稿「大統領選、ヒラリーで決まりは早すぎる」で、さわりだけを触れた。

ここで理論の概略を説明すると、世の中は80年程度の大きな周期で回っており、その周期の中に20年~25年の小さな周期のターンがある。なぜそうなるかというと、社会が概ね寿命80年前後の人間で構成されている限り、社会における「幼年」「青年」「壮年」「熟年」の役割は古今東西を問わずに決まっている。

その結果、それぞれの世代が、どんな時代に、どんな役割を担ったかが相互に作用し、その時の20~25年の社会情勢も決まる。ならば次の時代を予想する場合、次に物事を決める立場(壮年期と熟年期)になる世代が、どんな境遇で人生の前半の幼年期、青年期を過ごしたかで、次の時代の特徴を事前に想像できるという考え方だ。

この理論の提唱者の一人、ニール・ハウ氏は、姉妹本「Generations」(1992年)を同僚のビル・シュトラウス氏と書いた。これは米英のジェネレーションの特徴を過去500年遡って検証し、その特徴とその時代に起きた事象との関連性を検証した内容だった。

後に、この本は副大統領だったアル・ゴア氏と政敵で下院議長だったニュート・ギングリッチ氏によって、すべての国会議員に配られた。ところが、5年後の姉妹本の4thターニングは、特にリベラルメディアと民主党は忌み嫌ったのである。

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