コロナショック後のアメリカに訪れる暗い結末 80年周期の中での「4度目の転換期」が持つ意味
なぜなら、そこには冷戦終了後のアメリカのユーフォリア(陶酔)は早晩終わり、その先には、テロや金融危機、パンデミックなどによって、暗い未来がやってくる予言の内容になっていたからである。
その暗い時代が4thターニングであり、それが明けると新しい時代が始まるなら、決して暗い話ではないのだが、さすがに絶頂期のアメリカはこの理論を受け入れることはなかった。
ところが、大方の予想に反し、トランプ氏がヒラリー・クリントン候補を破ったことで、この理論の信奉者のスティ―ブ・バノン氏が注目され、結果、筆者が理論を説明する前に、NYタイムズや冒頭のアトランティック誌など高級リベラル各誌が、バノン氏と、氏が信奉する4thターニング理論は悪魔の理論だとして再び徹底的に否定した。
恐らく、その理由は、過去の4thターニング期には、それまでのエリートの理論が機能しなくなり、それまでと違う次元で世の中が混乱する。そしてそこで必ず登場するグレイ・チャンピオン(混乱の時代を突破するリーダー)によって、新しい時代が切り開かれるという示唆があるからだ。
個人的には、トランプ大統領がその人なのかはわからない。だが冷戦終了後のアメリカを頂点とするグローバリズムを構築してきたリベラル系エリートたちからすると、そんな理論がまかり通ることは許されないのである。ところが、理論を否定していた急先鋒のはずのNYタイムズが、コロナ危機を経て、ついに再び理論を取り上げた。なんと、今度はコロナによる世の中の大転換、アフターコロナの新世界を、前向きに考え始めている気配がうかがわれる。
「4thターニング終盤と重なる20年の大統領選」の意味
記事からは、コロナ後の世界は、トランプ大統領のようなナショナリストが描く世界ではなく、再び自分たちリベラルエリートが、テレワークやソーシャルディスタンス、さらに人種の融和の延長で、世界を再びリードする意志が感じられる。
個人的にはそんな楽観はない。なぜなら「4つのターン」は、軍事専門家で評論家でもあるマイケル・ホプフ氏が著書で紹介した「人間社会の4サイクル」を内包するからだ。
1 HARDTIMES CREATE STRONG MEN (国難は英雄を生む)
2 STRONG MEN CREATE GOOD TIMES(英雄は平和をもたらす)
3GOOD TIMES CREATE WEAK MEN(平和は弱いリーダーを生む)
4 WEAK MEN CREATE HARD TIMES(弱いリーダーは国難をもたらす)
4thターニング理論をあてはめれば、2008年の金融危機から始まった4thターニングでは、激動のピークは2026年頃で、そのピークのあと、新しい時代(次の約80年の第1期である1stターニング)が徐々に始まる。
前述のバノン氏は、過去2回の4thターニングだった南北戦争と第2次世界大戦で、アメリカはより強く生まれ変わった。ならばこの4thターニングでは、アメリカは中国を倒し、再び新しい時代を切り開くとしている。
だが個人的には、今回の4thターニングが、アメリカの歴史の中で4度目の4thターニングになることの方が不気味である。いずれにしても、過去の4thターニングの大統領選の勝者(政党)は、その後の50年間を支配した(南北戦争後の共和党と、大恐慌後の民主党)。2020年の大統領選は、見守る側も、その覚悟が必要になろう。
最後に、今回の暴動が大統領選へ与える影響についてひとこと。この暴動で、大統領選で民主党候補(バイデン氏かどうかまだ未定)が獲得する票は、4年前にヒラリー候補が獲得した票数(トランプ氏を上回っていた)を、さらに上回るだろう。
だが、だからと言って大統領選でトランプ大統領の敗北が確定したわけではない。筆者は前回の記事「今のままではトランプが負けるこれだけの理由」で、このままではトランプ大統領は敗色濃厚だとしたが、個人的には、この暴動で、逆にトランプ大統領がこれから情勢を挽回する可能性を強く感じている。次回はその理由を詳しく解説したい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら