米大統領選「ヒラリーで決まり」は早すぎる なぜ米国の選挙は今も平日の火曜日なのか

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さて、オハイオ知事であるケーシック氏の今の立場に戻ると、反トランプの共和党関係者も、表向きは最後までトランプ批判に賛同しながら、実は大統領と上院の両方を民主党に取られる事態は避けたい。

なぜなら、そうなるとヒラリー氏が指名する9人目の最高裁判事がリベラルから選ばれることになり、不法移民の子供達にもアメリカの国籍が与えられ、白人国家アメリカは早晩「崩壊」する。それは本当の意味で共和党の終焉になりかねない。トランプ氏どころではない。

CNBCのオハイオの現地リポートで、TVカメラの前では反トランプを言いながら、カメラがオフになると本当はトランプ氏に入れるという白人層がかなりいることが触れられているが、白人アメリカ人の心情の底を現しているのではないか。

「ヒラリー勝利」でも、金融市場は一筋縄ではいかない

そしてどんな時にも、それなりに儲けるチャンスがあるのが金融市場だ。TV討論会の後は株が買われ、翌日には利食いになるパターンが続いている。米国の主要メディアは、必ず「ヒラリー勝利」と報道するのはわかっている。アジアから欧州時間にかけては真贋を確かめる手段はなく、
欧州時間での利食いは確約されているようなものだ。

またロンドンの賭けのマーケットメイクには、巨大な資金を持つ金融機関やヘッジファンドも参加している。彼らは自分たち支配するビット、オファーで金融市場を安心させ、前述のような手法で稼ぐ一方、仮にBREXITのようなサプライズが起きても、事前に金融市場でプットオプションやVIXなどを仕込んでおけば、賭けの負けはカバーできる。

いずれにしても、有象無象の思惑が支配する世紀の大統領選の結果まであと少しだ。いよいよアメリカの「4thターニング」の後半が始まる。4thターニングとは、アメリカが入植以来、70~90年の大きな周期を3回経験、今は4度目の新しい周期に入る前の「第4コーナー」という意味だ。現在はその「後半」という位置づけだ。このことの意味については、次回書くので、ぜひ楽しみにしていただきたい。
 

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

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たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

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