米大統領選「ヒラリーで決まり」は早すぎる

なぜ米国の選挙は今も平日の火曜日なのか

そんななか、大統領選は最後のTV討論会も終わり、主要メディアのデータはどれもヒラリー氏勝利に傾いている。ただマーケットを見る立場では、「ヒラリー氏勝利を確信する」のはまだ早すぎる。さらに仮にヒラリー氏が勝っても、議会勢力次第で市場がどう動くかは未定だ。

少なくとも、今の段階では民主党が上院多数派を取り返すことは織り込まれた。金融に優しい態度をとるNY州選出のシューマー議員が上院のトップになる。これは金融市場にもプラスだ。

しかし、下院も民主党に傾くと、今度は政策が格差是正や富の移転へと加速する。そうなると株式市場は歓迎しないのだ。ではここからは、BREXIT(英国のEU離脱)のようなサプライズが大統領選であるかどうか。BREXITと異なるのは、大統領選は国家の顔としてのキャラクターを選ぶ要素があることということだ。この点で過去の言動で、トランプ氏は主要メディアから徹底的に叩かれ続けた。そして今の時点で、勝負はついたと思われている(というか、そう思うように演出されている)。

ただし、そのトランプ氏と泥仕合を強いられていたヒラリー氏も、人気のなさを証明している。オバマ政権とメディアに守られてはいるが、メール問題や献金問題から逃げるヒラリー氏はやはり嫌われている。

「重要州の知事は共和党」という事実を過小評価するな

このまま投票日までは互いの弱点への攻撃が続くとして、最後は「執行力」が勝負を決める。カネと人的リソースではヒラリー氏が圧倒している。ただ大統領選は日本の国政選挙とは違い、各州が独自のルールでその州の勝者を選ぶ(メイン州とネブラスカ州は選挙人を総取りではない)。そこでは、「知事がどちらの党の所属か」は極めて重要だ。

現在、フロリダやオハイオ等、重要州の知事は共和党が占めている。例えばトランプ氏と予備選を争ったオハイオのケーシック知事は、相変わらず反トランプ氏を掲げている。だが、トランプ氏批判を続けると、自らが支援する上院議員候補の足を引っ張りかねず、ここへ来て中途半端になってきた。

一方、フロリダでは、共和党知事のリック・スコット知事が全面的にトランプ氏を支持している。トランプ氏同様にビジネスマンから政治家になったスコット知事。彼はヒラリー氏陣営が要求した「ハリケーンが来襲した際の事前投票の期日延期」を拒んだ。

個人的に、今回はオハイオよりフロリダが重要だと考える。理由はヒラリー氏陣営のリソース配分。ヒラリー氏は仮にオハイオを落としても、フロリダを取れば磐石という戦い方をしている。そこで注目は、共和党の、地元のマーク・ルビオ氏の動向だ。

そもそも反トランプ氏を鮮明にした共和党関係者は、当落線上の「危ない選挙」を戦っている共和党議員が圧倒的なのだ。一方でトランプ氏と激しく予備選を戦ったルビオ氏やクルーズ氏(いずれも上院議員)は、女性への暴言発覚後もトランプ氏支持を撤回していない。ルビオ氏は地元フロリダで上院選を優位に戦っており、トランプ氏人気が本物なら、2017年以降を見据え、支持を撤回する必要がないからだ(テキサス州のクルーズ氏の改選は2018年)。

いずれにしても投票日が近づくにつれ、水面下ではいろんな事が起こるはずだ。そこで参考までに、筆者の2004年の個人的な経験を紹介したい。2004年は現職の共和党ブッシュ大統領に民主党のケリー上院議員(現国務長官)が挑んだ選挙だった。序盤ケリー氏が奮戦、8月には支持率でブッシュ大統領をリードしていた。しかし9月には退役軍人たちによるケリー中傷が始まり、結局ケリー氏は敗北した。

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