もうひとつの注目はホイールベースで、現行型の2660mmから2690mmへと、30mm長くなっている。つまり、全長よりホイールベースの延長分が上回っている。これにより、タイヤがよりボディの四隅近くに置かれることになり、安定して見えるのだ。
ちなみに新型のホイールベースは、「2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した「RAV4」と同じで、トヨタの新しいクルマづくり改革であるTNGAの「GA-K」プラットフォームを採用している。
3代目ハリアーのホイールベースは、3代目RAV4(2005~2016年)のロング版として販売されていた「ヴァンガード」と共通だ。
もうひとつ新型ハリアーのスタイリングで気づくのは、水平基調だった3代目とは対照的に、躍動感を強調していることだ。
平板に近かったボディサイドは、リアに向けてせり上がるウエッジシェイプのキャラクターラインを強調し、リアフェンダー周辺が張り出している。サイドウインドーも後端の位置が上に移動し、上側のカーブはゆったりした。ルーフラインもそれに合わせて弧を描き、リアゲートの傾斜は強くなっている。
顔つきは、グリルを下げ、ヘッドランプを少し吊り上げるとともに、下端にシルバーのアクセントラインを入れて動きを出している。リアは細くなったコンビランプ付近を突き出したような造形が印象的だ。
エンブレムが「トヨタマーク」になった理由
ところで新型ハリアーは、車名の意味であるタカ科の鳥「チュウヒ」をイメージしたフロントのエンブレムを捨て、リアと同じトヨタエンブレムを採用している。
現在、日本で販売されているトヨタ車を見ると、独自のエンブレムを抱えているのは「クラウン」「カローラ」「アルファード」「ノア」などで、カローラを除けばグローバル展開する車種はすべてトヨタエンブレムとしている。
新型ハリアーもこのフォーマットに則った形で、3代目が国内向けだったのに対し、新型は海外でも販売されるためだ。
トヨタは、2008年から10年間販売していた北米専用車種「ヴェンザ」の復活を先月発表した。その姿は新型ハリアーそのものだったのである。
プラットフォームを共有するRAV4がオフロードを連想させる逞しいフォルムになったので、差別化を図るためにスポーティ方向に振ったとも取れるし、ダイナミックな造形が好まれる北米市場を考えて、躍動感を強調したスタイリングになったとも想像できる。
インテリアも、立体感のあるインパネや存在感のあるセンターコンソールなどは現行型のイメージを受け継いでいるが、センターコンソールの作りを一新したおかげで別物に見える。
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