新型コロナウイルスの影響でスポーツやエンターテインメントは深刻な打撃を受けた。その中で中央競馬は健闘している。
無観客となった2月29日以降、週末は外出を控えなければならない状況が続いた中で、自宅で楽しめる数少ない娯楽として定着した。無観客と同時に馬券は電話・インターネット投票限定の発売となった。この間、無観客開催を発表した2月27日以降、インターネット投票の即PAT会員の新規申し込み数はダービー当日の5月31日までで37万1949人。昨年の同時期の2月21日からダービー当日の5月26日までの新規申し込み数は15万428人で約2.5倍増加した。
即PATは指定された金融機関の口座を持っていれば申し込み当日から馬券が買える。日本ダービー当日は昨年が1万1309人に対して、今年は3万2166人もダービーの馬券を購入したい新規申し込み者が殺到した。
即PATは昨年のダービー当日時点の累計加入件数が273万7244人に対して、今年のダービー当日時点では累計328万8344人で50万人以上増えている。このうち37万人を超える申し込みがあったのが無観客になってからだ。
これまで競馬場やウインズで現金で購入していた人たちもネット投票に切り替えている。ネット投票の売り上げのシェアは全体の7割と言われていたが、無観客になってからも現金発売がなくなったものの売り上げは大きく落ち込んでいない。
障害の中山GJを含めた無観客開催のGⅠ11レースの売得金は1616億7387万3500円で昨年(1792億9359万1100円)との比較で90.2%。特にここ4戦はヴィクトリアマイルが昨年を上回ったほか残る3戦もすべて90%台をキープした。
4月25日から5月31日までの延べ12日間の2回東京競馬期間中の売得金は1969億4291万600円で昨年の2回東京競馬との比較で99.9%。ほぼ横ばいの数字は電話・インターネット投票限定とすれば驚異的と言える。JRAは公営競技の中でインターネット投票のシステム構築の先駆者だった。それが現在の状況で大きな強みを発揮した。
グランアレグリアは「大歓声」を意味する
JRAはすでに宝塚記念が行われる6月28日まで無観客開催を継続することを発表している。筆者のホームである福島競馬の夏開催は7月4日から19日まで3週のべ6日間開催するが、無観客となる可能性は大きい。それでも、今回筆者が体験したようにファンはそれぞれの方法で競馬を楽しんでいる。
今後の焦点はファンをいつから迎えるのか、それがどういう形となるのか。秋のGⅠは競馬場にファンの姿があるだろうか。ジャパンCではアーモンドアイとコントレイルの対決があるかもしれない。
グランアレグリアはスペイン語で「大歓声」を意味する。歓声が戻る日を待ちながら、しばらくは取材も含めて無観客競馬を皆さんとともに楽しんでいきたい。
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