5月17日のヴィクトリアマイルから時系列で振り返る。筆者が追い掛けていたアーモンドアイの再起戦を現場で見られないことには悔しさも感じた。
昨年の香港カップを熱発で回避し、急きょ参戦した有馬記念は折り合いを欠いてよもやの9着。連覇が懸かっていたドバイターフ参戦のために遠征したものの、コロナ感染拡大でドバイ国際競走が中止。出走することなく帰国した。昨年のドバイターフ後は、安田記念で復帰したが、今年は疲れもなかったために予定を早めてヴィクトリアマイルで復帰した。何より負の連鎖を断ち切りたかった。
レースは圧巻だった。スタートを決めると抜群の手応えで好位を進み、直線では騎乗したクリストフ・ルメール騎手が気合を付けただけであっさりと4馬身差をつけた。1分30秒6は昨年のヴィクトリアマイルでノームコアがマークした東京1600m芝のコースレコードに0秒1差。最後は流していただけに追っていればレコードだったかもしれない。
海外と合わせて芝のGⅠ7勝は日本馬最多タイで史上7頭目、牝馬では3頭目。12戦目での達成はディープインパクトの14戦を上回る史上最速の快挙となった。JRAGⅠ6勝は10頭目。
ルメール騎手は「めちゃくちゃ強かった。アーモンドアイはもうレジェンドホース。これから負けないね」とレース後のインタビューで胸を張った。国枝栄調教師は筆者との電話取材に「やっぱりすごいな、本当にすごい馬だよ」と何度も「すごい」という言葉を口にした。「今回は勝ててホッとした」とも語った。負の連鎖を断ち切り、本来の強さを見せつけた。
有馬記念後に「これだけの馬をこのまま終わらせるわけにはいかない」と強い決意を語ってくれた国枝調教師。「だからこそ強いアーモンドアイを見せることができて良かった」という言葉は力強かった。いつもレース後に見せていた熱中症の症状も見られなかった。陣営は疲れがないことを確認して6月7日の安田記念への参戦を決めた。
デアリングタクトが成し遂げた快挙
歴史的熱戦は続く。5月24日は3歳牝馬のクラシック第2弾のオークス。桜花賞を無敗で制したデアリングタクトが1957年のミスオンワード以来63年ぶり2頭目の快挙を狙って参戦。2戦2勝のデゼルとの無敗対決が注目された。
レースは各馬の厳しいマークにあったデアリングタクトが馬群でもまれて、直線も外に持ち出せずに苦しい展開だったが、内に進路を切り替えると強烈な切れ味で差し切った。劇的な勝ちっぷりで無敗の2冠を達成した。春の2冠制覇は一昨年のアーモンドアイ以来15頭目。無敗のオークス制覇は2年連続6頭目。キャリア4戦目は昨年のラヴズオンリーユーに続き、オークスが春に定着した1953年以降で3頭目となる最少キャリア制覇となった。
松山弘平騎手はオークス初勝利。ルメール騎手と並ぶ最多タイの年間重賞7勝目。「必ずすごい脚を使う。直線で外に進路がなかったので内に入った。一瞬で伸びてくれて強い競馬だった」。苦しい競馬だったが松山騎手はデアリングタクトの力を信じていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら