「人種差別抗議デモ」世界中で大規模化する理由 アメリカ警察官による黒人男性殺害が引き金
警察官による再度の黒人殺害――この事件に対するデモが、ここ数日でアメリカから世界に広がっている。世界のデモ参加者は、アメリカの参加者との連帯を表明するだけでなく、自国の人種差別をも非難している。
抗議行動はベルリンやロンドン、パリ、バンクーバーから、アフリカ諸国や中南米、中東の都市まで、世界各地で行われている。シリアでは、アーティストが人種差別反対の壁画を描き、レバノンやチリでは、警察官による暴力から身を守る方法を活動家らがアドバイスしている。
警察官に押さえつけられて…
こうした世界的な動きの発端となった人物はジョージ・フロイド(46)。5月25日に、手錠をかけられたまま、ミネアポリスの白人警察官によって地面に押さえつけられたのちに死亡した。この警察官は殺人罪で起訴されている。
ロンドンでは何千人ものデモ参加者が、新型コロナウイルスによる外出制限を無視して集まり、堀で囲まれたアメリカ大使館を取り囲んで、フロイドの名前や、彼が言った「息ができない」という言葉や、「正義がなければ平和はない」などの言葉を連呼した。そして、2017年の火災で多数のアラブ人やイスラム教徒、アフリカ系の住民が死亡したグレンフェル・タワーに向かって進んだ。
あるデモ参加者は、グレンフェル・タワーの犠牲者へのメッセージが書き込まれる場所に、「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」と書いた。
トロントでは、アメリカでの人種差別撤廃を求める声が、レージス・コルチンスキー・パケット(29)の死に対する怒りと合わさった。コルチンスキー・パケットは黒人女性で、5月27日に警察が彼女の家に到着したあと、バルコニーから転落して死亡した。警察が彼女の家に向かったのは、市警察署長によると、暴力行為についての「逆上したような」通報を受けたためだという。