部下が自発的に動き出す、管理職の5つの心得 必要なのは「威厳」ではなく魅力的なビジョン
組織には、ビジョンが必要です。世の中のリーダーが、なぜビジョンが描けないかというと、ビジョンを難しく考えすぎているからだと私は思います。
ビジョンは、何か壮大なストーリーでなければいけないとか、将来が見通せるような先見性が必要なんじゃないかとか、プレゼンがうまくないといけないとか、リーダーにカリスマ性がいるのではないかとか……。とにかく難しいものだと思っている人が多いのですが、まったくそんなことはありません。
ビジョンとは、誰にでも描くことができる、極めてシンプルなものなのです。かつ、きちんと順番を追って描くことで、誰にでも共感してもらえるビジョンに変換が可能だという点も付け加えて覚えておいてください。
その具体的な解消策を紹介します。
魅力的なビジョンとは何か?
まず、ビジョンの定義を自分のものにしましょう。ビジョンとは、「映像のように鮮明な将来像」のことです。将来というのは、遠い将来でなくてもかまいません。今よりも未来であれば将来です。像のように鮮明というのは、相手の頭にリアルにイメージさせられればOKということです。
例えば、家族に向かって「今週の土曜日にディズニーランドに行こうか」と提案し、皆が「いいね!」と乗ってきたなら、ビジョンに共感してもらえたということになります。ディズニーランドのよさを知っている人に「ディズニーランドに行こう」と伝えれば、相手の頭の中にも将来像が浮かぶわけですから、ビジョンはすべて伝えなくても十分伝わります。
皆さんが飲食店の店長で、いいお店にしたいなら、実際に別のいいお店をみんなで見にいって「オレはこんなお店にしたいんだ」というだけで十分ビジョンは伝わります。
世の中には組織に関する情報はたくさんありますから、テレビでもブログでも書籍でも、自分の理想とする組織に近いものを見つけ、それを共有し「自分がつくりたい組織はこれなんだ」と言えば、立派なビジョンメイキングです。
まとめると、魅力的なビジョンを描く手順は以下のとおりです。
② その組織について、自分が知っているのと同じくらいメンバーに理解してもらう。
③ 「こんな組織にしたい」と伝え、その組織のどの部分を取り入れたいのか具体的に共有する。
④ その組織を知って、どう感じたか、同じように目指したいと思えたか質問をする。
⑤ 同じように目指したいと思えた部分に対してメンバーと一緒に取り組む。
たったこれだけのことで、ビジョンの共有はできてしまいます。魅力的な組織を見つけて共有することは、誰にでもできます。プレゼン力やカリスマ性は必要ありません。そもそも、部下をひきつけるべき対象は「ビジョン」であって、「あなた自身」ではありません。
あなた自身の魅力やカリスマ性で部下をひきつけるのではなく、あなたが描く「ビジョン」に相手をひきつける必要があるのです。たったこれだけのことを、やっていないリーダーが実は多くいるのです。