部下が自発的に動き出す、管理職の5つの心得 必要なのは「威厳」ではなく魅力的なビジョン
ビジョンがない組織は、問題があっても、それを解決しようとしません。向かう方向性が一致していないので、一生懸命解決しようにも、それが組織としていいことなのかすらわからず、取り組もうとしてほかのメンバーともめるくらいなら、放置しておいたほうがいいという判断になってしまいがちです。
その結果、皆が問題に気づきながら誰も解決しようとせず、ずっと同じ問題に直面し続ける状態になります。
問題を放置し続けた結果、「誰かこの状態を何とかしてくれ」とみんなが他力本願になります。「この問題が解決しないのは、優秀なリーダーがいないからだ」「あの人がいるから仕事が楽しくない」と皆が自分以外の誰かのせいにして、何も解決に向かわない状態になります。
時々誰かが立ち上がって変化を起こそうとすると、それを批判する人が現れ、他人のせいにして批判だけしている人」がいちばん合理的な行動だという、歪んだ風土ができあがってしまいます。
不満が出続け、「ことなかれ主義」の組織に…
とはいえ問題はなくなりませんから、仕事をするうえでは不満が出続けることになります。解決に向かわない不満は愚痴に変化し、気の合うメンバーでグループができあがり、内輪で誰かを悪者にする愚痴り合いが横行します。
何かネガティブな情報は、噂話として瞬時に伝わるものの、誰もそれを直接本人に確かめるようなコミュニケーションが存在しないので、噂話が真実としてはびこってしまいます。
その結果、組織には「もっとよくしていこう」という意欲や気概を持った人が減り、覇気が失われ、「ことなかれ主義」の組織になります。
この状態が長く続くと、変化すること自体がおっくうになり、変化しようとする人を叩く、「出る杭を打つ文化」へとまっしぐらです。
いかがですか、こんな組織、嫌ですよね。仕事を任せようと思っても、こんな組織では誰も新しい仕事をやりたがらないし、任せ方が少し雑だっただけで、ものすごい悪評を陰で言われるような体質になってしまいます。そこには、一緒に目指す仲間意識や助け合いの精神は存在しません。
そして、これら5つの特徴は「組織にビジョンがないこと」によって、徐々に広がっていきます。さらには、組織を変えようとする優秀な人ほど、その組織からいなくなるという悪循環が生まれてしまいます。