10代目「アコード」乗ってわかった走りの質感 e:HEVが実現した新たな“意のまま"の走り

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さて、新型アコードだ。パワートレーンは、2016年5月に行った先代のマイナーチェンジモデル以降と同機構ながら、細部を改良して搭載。ハイブリッドシステムは「i-MMD」改め「e:HEV」と命名されたシリーズハイブリッド方式で、フィットのe:HEVモデルと同じく、エンジン直結モードを持つ。

搭載エンジンのスペックは直列4気筒DOHC 2.0リッター(145PS/17.8kgf・m)と同じだが、エンジン形式が「LFA」から「LFB」へと改められ、最大トルクの発生回転数が、500回転下げられた。また、レギュラーガソリン対応であることに変わりはないが、60リッター→48リッターへとタンク容量が小さくなっているところも相違点だ。

バッテリーに関して開発陣に問い合わせてみたが、「容量(Ah)はお教えできません」(新型アコードの開発者)とのこと。

もっとも、細部をリファインしているとはいえ、ハイブリッド形式が同じであること、前面投影面積は増加したもののCDA値は3%低くなったこと、車両重量もほぼ同じ(先代初期モデルから-80kg、先代マイナーモデルから-40kgの1560kg)であること、さらにはカタログ記載のバッテリー個数、バッテリー現物画像、実測した燃費数値から推察すると、先代の1.332kWhと同等程度は確保されているもよう。

今回、約160㎞試乗した際の総合燃費数値は23.7km/L(高速道路区間では29.1 km/L、郊外路区間は20.1 km/L)だった。後述する「ECON」モードを使わず、「ドライブモードスイッチ」はほぼNORMALモードで記録している。

新型アコードのJC08モード値は先代同様の30.0 km/Lで、新型のみ記載のあるWLTC値は22.8 km/L。交通量が少なめで渋滞路にも遭遇しなかったため、カタログ値を若干上回る結果となった。

走りの進化は見た目以上

エンジンとモーターが発生するシステム最高出力(合計出力ではない)についても「公表していない」(同)とのことだが、新型の走りっぷりからして先代のマイナーチェンジ後のカタログスペックである215PS程度はありそうだ。

その新型の走りは、大きく変わった見た目以上に進化している。それも正常進化ではなく、フィットのe:HEVモデルで感じられた「人中心の感性に訴えかける乗り味」に変化した、という表現がしっくりくる。

新型では新たにドライブモードスイッチが設けられた。

ドライブモードスイッチはセンターコンソールに設置される(筆者撮影)

SPORT/NORMAL/COMFORTの3モードから選べるのだが、モードごとの個性が明確で使い分けしやすい。加えて、ホンダ各モデルが採用するエコ運転向けのECONモードが付く。

このうち、エンジン始動時に自動選択されるのはNORMALモード。COMFORTモードは、「出力」と「電動パワーステアリング」の両特性についてはNORMALモードと同一ながら、電子制御式の可変減衰力ダンパーである「アダプティブダンパー」の減衰力にソフト側の制御も組み込まれる。幅広い道路環境に対応するCOMFORTモードの減衰力特性は、日本の道路環境に合わせた専用セッティングだ。

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