「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(下)
大半を海外で売るソニーは大赤字を出している。国内比率が40%と高いシャープでさえも海外の損失をカバーし切れない。それに対し、東芝は積極的な外部委託先活用で「米国での赤字垂れ流しを食い止めている」(大角氏)。海外の損失を最小化したうえで、国内で稼いだ分をガッチリ積み上げているのだ。
それでも、大角氏は「黒字額が小さい。ローリスク・ローリターンなだけ」と不満をこぼす。狙うのは数量を出しリターンを増やす作戦だ。「まずは1500万台を達成。すると違う景色が見えてくる」(同氏)。11年度にはさらに1800万台へ拡大という強気目標をブチ上げる。
最大市場の米国は、現在はベストバイを中心とした専門店チャネルが主。激安チェーンのウォルマートには踏み込んでいない。しかし、量を追うためウォルマートへの進出も「真剣に考えないといけない」(同氏)。
ウォルマートとの取引は量こそはけるが、他社担当者が「殺される」と嘆くほど、激烈な低価格を迫られる。さらにその場合は、専門店チャネルとの折り合いも難問だ。世界首位のサムスン電子はそこを両立させており、東芝もチャネル使い分けはやれるはずと見ている。