「東芝だけが黒字」な理由、テレビ事業復活の舞台裏(下)
ディスプレイサーチの鳥居氏は、大目標達成には「新興国を拡大する必要がある」と指摘する。東芝は09年8月に英国拠点を閉め、欧州生産はポーランドに集約。ベトナム工場も停止を検討中だ。自社工場を再編し外部委託を高めることで、新興国市場の価格競争に挑む構えだ。
12月10日、東芝は予想価格100万円の「セルレグザ」を発売した。ソニーのPS3用に開発された超高性能CPU「セル」を搭載。デジタル放送の8チャンネル同時録画・表示や画像の高画質補正、映像の3D化も可能など、スパコン級のテレビだ。月産は1000台。マスに訴える製品ではない。それでもあえて投入する理由を、「低価格対応だけではなく、新しい価値を生み出す必要があるから」と大角氏は話す。
低価格化の奔流が勢いを増す中だからこそ、圧倒的なブランドを確立する必要がある。セルレグザで培った技術を普及製品に落とし込むことで、競争力のさらなる向上を図る。どん底から復活した東芝のテレビ事業。“不思議”を“伝説”に昇華させることはできるか。
(山田雄大 撮影:尾形文繁、今祥雄 =週刊東洋経済)
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