ヤフー検索に映る「マスク不足」の消費者心理 「買えなければ作る」は2月に始まっていた

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検索の傾向は男女でも分かれる。3月30日から4月5日の1週間の検索データを男女別に見ると、男性側には「amazon」「在庫」「いつまで品薄」「楽天」「通販」など、購入を目的としたワードが多く並ぶ。

(提供)ヤフー・データソリューション

加えて、「2枚」「配布」「サザエさん」(一家に配布された2枚のマスクを家族が縦2列に並んで付けているイラストが話題になった)と、アベノマスクへの関心も女性側にはない特徴として出た。

一方の女性は、通販やメーカーに関する言葉があるものの、男性に比べると「作り方」「ゴム」「手作り」「型紙」といった手作り関連、また「洗い方」「洗える」といった再利用関連への興味を示す言葉が圧倒的に多く見られた。

50代、60代は日本製マスクにこだわり

年代別ではどうか。特徴的なのは30代、40代のトップに来た「子供用」という言葉。子供用マスクを探す、あるいは作るニーズが大きい世代だ。

(提供)ヤフー・データソリューション

一方、50代、60代ではそれ以下の年代では見られなかった「日本製」が上位に入り、日本製商品へのこだわりの強さがうかがえる。

データは4月9日時点。円のつながりは組み合わせで検索されやすい言葉を示す。円の大きさは言葉の頻出数であり、検索数ではないが、大きいほど関心が高いと言える。暖色がかっているほど女性、寒色がかっているほど男性の検索が多い。(提供)ヤフー・データソリューション

ちなみに、アベノマスクの登場で注目を集めることとなった「布マスク」にフォーカスした分析も行ってみた。結果としては、「感染」「防止」「効果」といった性能面への関心、「首相」「経済産業省」など政策面への関心、「いつ」「届く」といった配布時期への関心を示す言葉が見られた。ただ、大きく傾向として出たのは「織る」「作り方」という言葉。アベノマスクに頼るより、自分で用意することを思考する人が多いようだ。

地域によって供給不足が解消され始めたマスク。だが、外出自粛要請が軽減される今後こそますます手放せなくなるかもしれず、まだ安心できる状況ではない。

これまで季節商品だったものが、少なくともこの先数カ月、あるいは数年単位で、すべての人にとっての必需品となる中、マスクを取り巻くトレンドは今後も刻々と変化しそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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