日本で「女性の社会進出」が大きくテーマに掲げられるようになって、すでに数十年が経過している。
しかしながら、世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)が発表した2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」(グローバル・ジェンダー・ギャップ指数、世界経済フォーラムが毎年発表している、各国を対象に、政治・経済・教育・健康の4部門について分析した世界の男女格差指数のこと)において、日本は前年の110位からさらに順位が下がり、153か国中121位という悲惨な結果に終わった。
父親が絶対的な権威を持つ「家父長制」下に長らくあった日本において、仕事は男性のものであり、女性は家庭に入ることが一般的とされていた。女性への教育はさほど重要視されず、親世代からは「女はいい学校を出ると嫁の貰い手がなくなる」などと平気で教えられていたのだ。
そんな環境で、高い水準の教育や就労から遠ざけられていた女性たちは、突然、社会進出を推奨されることになった。
女性の社会進出自体は前向きで大変喜ばしいことであるし、そもそも性別のみで社会における役割を決められたり就労の機会を奪われたりすることは絶対にあってはならない。しかしながら、社会が女性に求める役割が大きく変化したことで、これまでの「家庭の人」という役割との狭間に取り残された女性たちもいるのは事実だ。
「出産後の再就職」はまだまだ難しい
実際に、日本ではまだ「女」であるだけで就労の自由を制限されることがある。
就職活動の時点で、面接官から「彼氏の有無」や「結婚する予定」、さらには「出産後に育児を手伝ってくれる親族の有無」を聞かれることがある。このとき数年以内に結婚する予定があるか、子育てに協力してくれる親族が遠方にいるといった場合はほとんどマイナスに評価されるのだ。
さらに子どもを持つ女性たちにとって、出産後の再就職や転職はさらに難易度がはね上がる。企業の人事担当に話を聞くと、みな同じように「一人の採用枠に子どもがいる女性を含む複数人が面接を受けにきた場合、申し訳ないが、どうしても他の人より不利になってしまう」と漏らす。
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