「ファーウェイ」米国の制裁強化でも強気な理由 国際会議の参加で見えてきた欧州重視の態度
「恣意的な指名はしていないのですが、記者の質問がちょっと弱かったような……」
中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)の郭平(グオ・ピン)輪番会長ら同社幹部は5月18日、世界のメディアやアナリストの質問を受けた。質疑応答の終了後、冒頭の感想を漏らしたのは、裏方で見守っていたファーウェイの社員だった。
アメリカ商務省は3日前の15日、1年前に発動したファーウェイに対する輸出規制を強化し、外国で製造した半導体でもアメリカ製の製造装置を使っていれば、ファーウェイへの禁輸措置の対象とすると発表した。ファーウェイが半導体を調達する台湾積体電路製造(TSMC)は、アメリカ企業の製造装置などを使って半導体を製造している。TSMCからファーウェイへの部品供給を遮断する狙いがあり、ファーウェイの経営には大きな打撃となる。
ファーウェイは輸出規制の強化を批判
ファーウェイは18日、「アメリカの決定は極めて恣意的であり、世界の産業全体を脅かすおそれがある。正当な理由なく断固と反対する」「アメリカは自国の技術における優位性を濫用し、他国の企業を徹底的に排除しようとしている」と、アメリカを批判する声明を発表した。中国政府も報復措置に動く可能性が高く、米中貿易戦争はさらに深刻化するおそれもある。
同日夕方に開かれた質疑応答には、ファーウェイからは郭平(グオ・ピン)輪番会長、汪涛(ワン・タオ)常務取締役兼製品投資審査委員会主任、汪厳旻(ワン・ウェンミン)消費者BGグローバルエコシステム発展部総裁、そして各国から100人弱の記者・アナリストが参加した。司会者は「何でも聞いてください」と言ったものの、質問一つひとつへの回答が長く、1時間の質疑応答で質問できたのは6人。日本メディアは指名されなかった。
質問はアメリカの輸出規制への対応に集中したのだが、「長期的な影響」を問うものが多く、TSMCからの調達封じ込めの影響や対策には触れられなかった。そのことが、ファーウェイ社員に「質問が弱かった」と受け止められたのかもしれない。
一方で指名された6社のうち半分は欧州企業・メディアであり、質疑応答からはファーウェイの欧州市場重視と、欧州の中立的な立ち位置の両方を感じた。質疑応答の内容を、要約して紹介する。
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