「ファーウェイ」米国の制裁強化でも強気な理由 国際会議の参加で見えてきた欧州重視の態度

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Q:アメリカのファーウェイへのグローバル業務への圧力は今後も続くだろう。世界が新型コロナウイルスという公衆衛生の危機に直面しているときに、アメリカがファーウェイへの圧力を緩めないことをどう思うか。(AFP通信)

郭平輪番会長:ファーウェイは中国で新型コロナを経験し、また、世界中の顧客と一緒に新型コロナ対策で努力をしている。コロナでの経験で得られたのは、ICTインフラが非常に重要な役割を果たしたという事実だ。

中国、特に武漢のような大都市は住宅面積が小さく、80日以上家の中にいるというのは大変なことだった。ファーウェイは政府や企業と協業し、コロナ対策でソリューションを開発し、欧州、アフリカ、アジアでもネットワークの安定に貢献した。

ICT分野での技術的優位性を確立できた

例えば武漢の都市封鎖で、政府は動画コンテンツ提供企業にサービスを無料で開放するよう要請した。そういう場面でも中国のネットワークは接続が安定し、遠隔医療、リモート教育、リモートワークにも貢献した。

ICTの発展に貢献してきたファーウェイをアメリカ政府がなぜ迫害し続けるのか。率直に言えば、理由はないと思っている。最近、アメリカ高官の講演やスピーチを読んで、こう総括している。

アメリカは、自国の技術的優位性が覇権の基礎をなしており、他の国家、企業の技術優位性は、アメリカの覇権を傷つけると考えている。不幸にして、ファーウェイは成長が速いICT分野で技術的優位性を確立した。あなた(フランス)の国の大統領も、演説でよく「EU(欧州連合)のインフラとデジタル主権の構築を加速するべきだ」と言っている。

Q:輸出規制が強化される中で、(自社のクラウドサービスである)ファーウェイクラウドへの期待と課題は。(中国専門メディアの通信世界)

汪涛氏:今後10年はデジタル化、スマート化へシフトが進む黄金の10年になる。ファーウェイクラウドはその中で鍵となるだろう。ファーウェイは「スマートデバイス+ネットワーク、コンピューターによる情報処理、クラウドでの確認」でソリューションを生み出している。今後もイノベーションを続け、顧客とスマート世界の構築に貢献する。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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