老舗タクシー、コロナで売り上げ7割減の衝撃度 大和自動車交通の前島社長が語る「業界の今」

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外出自粛下でも東京駅で客待ちするタクシー(編集部撮影)※写真と本文に直接の関係はありません
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、飲食やホテル、サービスなど多くの業種が壊滅的な打撃を被っている。タクシー業界もその1つだ。
特に4月7日に緊急事態宣言が出されて以降は、利用者が激減。都内でタクシーを運行するロイヤルリムジンが約600人の運転手を解雇する騒動となり、大きなニュースになった。さらに5月13日には、大阪のタクシー会社「ふれ愛交通」が破産申請に至った。
タクシー業界は体力のない中小事業者が大半を占め、今のような状況が続けば廃業や倒産が続出しかねない。東京都内を中心に約2000台のタクシーを運行する業界大手で、タクシー業界では数少ない上場会社、大和自動車交通の前島忻治社長に業界の現状と危機感を聞いた。

2021年も元の水準には戻らない

――新型コロナの影響によって、足元の売り上げはどのような状況ですか。

かなり厳しい。3月の段階で例年の6割ほどに落ち込み、4月7日の緊急事態宣言後は3割ぐらいなってしまった。5月も同じような状況が続いている。観光客が減った影響はさほど大きくないが、人の移動が完全に遮断されたのが痛い。当社含め、タクシー業界はビジネスマンのお客さんが多かったので、在宅ワークになって利用者が大幅に減った。

今後については、緊急事態宣言が解除されれば徐々に戻ってくると考えている。とはいえ、6月に解除されたとして、いつもの4割程度、夏あたりまでは半減レベルだろう。2021年も元の水準までは戻らないのではないか。

――資金繰りの不安は?

タクシーは日銭商売。入金までにタイムラグがある製造業とは違って、日々の水揚げが減ると即、現金収入が細る。一方で、従業員の給料や家賃、燃料代など出費はあるので、4月は差し引き約2億円のキャッシュアウトになった。

資金繰りの試算をしたところ、最悪の場合、今年度の1年間で現金が34億円不足する恐れがあった。そこで4月に35億円の短期借り入れをした。従来の借入残高が70億円弱だったことから見ても、かなり大きな金額だ。すでにあった手持ちの資金と合わせれば、これで少なくとも今年度の資金繰りはもう大丈夫だ。

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