「自国優先」にもグローバリズムが必要な逆説 コロナ後の社会と「ボディ・パンデミック」 

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1番目の原則が具体的に何を意味するかは、前回の記事をご覧下さい。

ここで取り上げるのは、2番目と3番目です。

1つの巨大な身体である以上、ボディ・ポリティックには一体性が備わっている。

分離しようと思って、できるものではありません。

しかるにコロナ対策をめぐっては、高齢者や基礎疾患のある者といった「コロナ弱者」を隔離・保護しさえすれば、あとの者はさして自粛しなくとも構わないはずだとする主張が見られました。

「分離型自粛緩和論」というところですが、問題はそのような分離が実際にはできないこと。

いい例がスウェーデンです。

同国は分離型の対策を取りましたが、死亡率はアメリカや中国の2倍以上。

子供のいない単身世帯が全体の56%を占めるなど、分離がしやすいはずなのにこのありさまです。

レーナ・ハッレングレーン保健・社会大臣は4月30日、「ウイルスから高齢者を守ることができなかった」と認めました(「スウェーデン「集団免疫」作戦の効果は?感染防止につながる信頼文化と高い代償を払う高齢者」2020年5月2日)。

スウェーデン公衆衛生局の疫学者で、コロナウイルス対策の責任者であるアンダース・テグネルも、以下のようにコメント。

「多大な死者が出ることを前提にした計算は、真剣にやらずにすませていたと認めざるをえない」

「感染して発症する人が増えることは計算済みだった。だが死者数がここまで増えるとは本当に驚きだ」

「(注:高齢者施設から)疫病を遠ざけておくのは非常に難しい。われわれがベストを尽くしても十分でなかったのは疑いえない」(「Head of Sweden’s no-lockdown coronavirus plan says country’s heavy death toll “came as a surprise” – 1,500 deaths in aged care」The Weekly SOURCE 2020年5月9日)

「分離型自粛緩和」は国民分断に至る

しかも厄介なことに、「コロナ弱者」には妊婦も含まれるリスクが高い。

妊婦の重症化リスクが、そうでない女性より高いというデータは(まだ)ないものの、一般的に妊婦が肺炎になると重症化しやすいのです。

わが国の年間出生数は、2019年の数字で86万人あまり。

言い替えれば、それと同じくらいの数の妊婦がいます。

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