コロナ対策は「予防徹底は不可能」が前提だ

弱者に負担を押しつける「分離型自粛緩和論」

新型コロナウイルスの予防措置であれ、「コロナ弱者」の隔離・保護であれ、徹底できるはずだと思うと被害は逆に大きくなる(写真:Juanmonino/iStock)  
内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
前回に続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、われわれの身体への脅威のみならず、社会全体にどのような影響を及ぼしているのかを、「コロナ対策の3つの原則」という視点から評論家・作家の佐藤健志氏が読み解く。

ボディ・ポリティックの存在を踏まえて

社会的な集団や組織について、われわれはしばしば「ひとつの巨大な身体」のイメージで捉えます。

これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論します。この連載の記事一覧はこちら

だからこそ、企業や団体、あるいは組合が「法人」と位置づけられる。

法律によって「人」のごとく見なされる存在ということですが、法人の反対概念は「自然人」です。

むろん、国家も例外ではない。

中世以来、ヨーロッパでは「ボディ・ポリティック」(政治的身体)という概念がありました。

こちらも反対概念が「ボディ・ナチュラル」(自然的身体)なのが面白いところですが、王はこの2種類の身体を同時に持っているとされたのです。

自然的身体とは、王の生身の身体。

政治的身体とは、人々を導き、経世済民を達成するための政府と政策。

よって政治的身体は目に見えないのですが、王の自然的身体は、ボディ・ポリティックを象徴的に具現化しているとされました。

しかるに主権国家の概念が確立されるにつれ、王が支配する人々、つまり国民もボディ・ポリティックに含まれてゆく。

「政治的身体」とは、個々の国民の身体によって構成された巨大な身体であり、「元」ないし「首脳」としてそのてっぺんに鎮座するのが王である、というイメージです。

そのような形でボディ・ポリティックに組み込まれた人々のことを「国民」と呼ぶ、そう言えばさらに正確でしょう。

次ページコロナ対策の3つの原則
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「未来を知る」ための読書案内<br>ベストブック2021

先を見通せない日々が続きますが、本を開けばアフターコロナ時代のヒントがあふれています。本特集では、有識者や経営者、書店員らが推薦した200冊を掲載。推薦数の多い順にランキングしました。あなたにとっての珠玉の1冊を探してみてください。

東洋経済education×ICT