ボディ・ポリティックの存在を踏まえて
社会的な集団や組織について、われわれはしばしば「ひとつの巨大な身体」のイメージで捉えます。
だからこそ、企業や団体、あるいは組合が「法人」と位置づけられる。
法律によって「人」のごとく見なされる存在ということですが、法人の反対概念は「自然人」です。
むろん、国家も例外ではない。
中世以来、ヨーロッパでは「ボディ・ポリティック」(政治的身体)という概念がありました。
こちらも反対概念が「ボディ・ナチュラル」(自然的身体)なのが面白いところですが、王はこの2種類の身体を同時に持っているとされたのです。
自然的身体とは、王の生身の身体。
政治的身体とは、人々を導き、経世済民を達成するための政府と政策。
よって政治的身体は目に見えないのですが、王の自然的身体は、ボディ・ポリティックを象徴的に具現化しているとされました。
しかるに主権国家の概念が確立されるにつれ、王が支配する人々、つまり国民もボディ・ポリティックに含まれてゆく。
「政治的身体」とは、個々の国民の身体によって構成された巨大な身体であり、「元首」ないし「首脳」としてそのてっぺんに鎮座するのが王である、というイメージです。
そのような形でボディ・ポリティックに組み込まれた人々のことを「国民」と呼ぶ、そう言えばさらに正確でしょう。
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