遠慮しない「フェミニズム誌」熱く求められる訳

雑誌「エトセトラ」が切り開いた新ジャンル

意欲的な特集で共感を呼んでいるフェミニズム専門誌『エトセトラ』を発行する松尾亜紀子社長(取材は3月26日に実施、撮影:尾形文繁)

「コンビニからエロ本がなくなる日」。こんな特集を組んだ雑誌の創刊号が発売されたのは、今からちょうど1年前、2019年5月のことである。この号は増刷され、独立系出版社としては異例の5000部を売った。

それから6カ月後、今度は小説家の山内マリコ氏と、柚木麻子氏責任編集であの元祖フェミニスト、元法政大学教授の田嶋陽子氏を大特集した号を発売。こちらも増刷後、5000部を売り切った。

読者は少なくとも4000人はいると思った

仕掛けているのはフェミニズム専門誌『エトセトラ』を発行するエトセトラブックスだ。5月と11月、年間2回発行する同誌の最新号は、美容ライター長田杏奈氏による責任編集で、「私の私による私のための身体」と題して女性の体に焦点を当てた。

2018年12月に同社を設立した松尾亜紀子社長は、「前の職場の河出書房新社で編集担当したフェミズム系の書籍は、だいたい4000部売れていたので、読者は少なくとも4000人いると考えていました。フェミニズム専門とうたって届ければ、少しずつでも確実に読者を増やしていけるのではないかと思っていたので、そのとおりになった」と手応えを話す。

同社はまた、これまでに単行本を4冊刊行。3月に出た翻訳小説『彼女の体とその他の断片』は読売、朝日、日本経済新聞の3紙の書評で紹介され、在庫わずかとなっている。7月末にも単行本2冊が出る予定だ。

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