アベノマスク「隠されていた30億円受注」の疑念

布マスク漏れ率100%、国は誰のために配るのか

ユースビオの事務所は福島市の中心部から外れた場所に建つプレハブ風の長屋に入っている(筆者撮影)

取材が殺到したから、国のマスク事業はもう受けない、とした樋山社長の言葉は一体何だったのか?

樋山社長は、今後取材を受けないと宣言しているため、同社の代理人である弁護士にメールで質問を送ったところ、次のような回答が届いた。

「樋山氏が岩澤様に話したものは、下記の記事に関するもので本年5月以降に関するものと思われます」。記事とは、今月3日付の週刊朝日オンライン版で、樋山社長の主張をずいぶんと丁寧に掲載している。そこにも「政府からまたマスクの納入を頼まれたとしても、もうやりたくありません」と記されていた。つまり、約30億円分の納品は4月15日に終わっているので、5月以降については新たに受けない趣旨だという主張なのだろうか。しかし、この記事でも樋山社長は約30億円の契約に触れていない。

ユースビオも厚労省も、4月下旬以降、ユースビオの受注額は約4.7億円という説明を続けてきた。そのためマスメディアや国民は、この金額がすべてだと思うのが自然だろう。約30億円の受注が判明したのは、5月11日付の福島参院議員への資料。厚労省マスクチームは5月12日の、私の取材に対しても、「第1回目の配布で完了した。新しい契約はしないはず」という言い方で、約30億円の契約について言及しなかった。

厚労省「2回目の契約といったご質問はなかった」

納得がいかない私は、5月18日に厚労省マスクチームにあらためて電話をした。

──これまで、ユースビオの契約内容について、繰り返しお尋ねしたが、あなたは30億円の契約に関していっさい触れなかった。それはなぜか?

厚労省担当者「ご質問の中で、介護施設の2回目の契約といったご質問はなかったからだと思います。ご質問いただいたものには、正確にお答えしているつもりなので」

──5月8日の電話で、あなたは「介護施設等に、2回目、3回目の配布も考えている」と話していた。しかし、その時点でユースビオと30億円の契約も済ませ、納品も済んでいたのでは?

厚労省担当者「そういうことになりますね」

──なぜ、まるで未確定のような表現をされたのか?

厚労省担当者「うーん、すみません。2回目3回目も考えているのは、まさにその通りなので。この契約日は、今(5月18日になって)ちゃんと聞いたので」

のれんに腕押しだった。

この厚労省マスク班の担当者は、30億円の契約でもベトナム製布マスクのデザインに変更はないこと、ただし、現行サイズに大きめのサイズも加えたことを明かした。

キャリア25年になる訪問看護師は、再びベトナム製布マスクが配布されると聞いて、すっかりあきれていた。

「あのマスクは、今の職場にいる私を含めた6人の看護師は誰も使っていません。全員が不織布の使い捨てマスクを使っています。誰のために国が購入して配るのでしょうか」

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