深刻な情報処理技術者の不足、社会基盤を支える人材の育成を急げ

深刻な情報処理技術者の不足、社会基盤を支える人材の育成を急げ

賛否両論の渦巻いた事業仕分けの中でもとりわけ注目を集めたのが次世代スーパーコンピュータだろう。学界、産業界からの強い反発を受けて、鳩山首相から「凍結見直し」が示唆されたが、現政権の国家戦略・百年の計のなさをはしなくも露呈する結果となった。

民主党のマニフェストにも「科学技術の育成」はうたわれている。しかしターゲットが不明なうえ、育成のために何をすべきかすらもまったく見えない。政策の骨格が見えず、予算削減という目先の目的一つで政策自体がぐらつく。この政権に対する産業界の不信は根深い。

開発が中断し、ロードマップが途切れると、その遅れは二度と取り戻せない。単にその期間分の遅れにとどまらない。産官学の共同研究は、いったん解体されると二度と同じメンバーを集められない。

さらに、スーパーコンピュータ開発の遅れは、他分野の研究にも多大な影響を及ぼす。医療、宇宙、気象など、さまざまな分野での解析・シミュレーションに不可欠なインフラだからだ。インフラが脆弱では、世界のトップをうんぬんする以前の話で、国際競争の中で生き残ることすら難しい。

資源の乏しいわが国にとって、唯一の資源は人材であり、中でも「ものづくり」を中核とした科学技術の力は、最も期待の大きい分野といっても過言ではない。しかし科学・技術開発のタイムスパンは長い。ハイビジョンテレビという民生技術でさえ、技術方式が考案されてから一般に普及するまで30年の歳月を要した。量子コンピュータの開発ロードマップも30年計画だ。長期にわたる技術開発だけに、現在の科学者、技術者だけで終わる話ではない。研究開発の継続性を念頭に置いた、教育による人材の育成もまた、計画の中に織り込まれねばならない重要な要素だ。国家単位での長期的視点からの下支えがなければ、企業努力だけではどうにもならない。

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