自粛生活に「幸福を感じた人」が口々に語る理由 150人調査で見えてきた、意外な「要不要」

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また意外なことに、状況が好転したと感じているのは(安定した)職に就いている人ばかりでもない。

〇仕事はない(減った)が気が楽になった人たち
コロナのせいで仕事が激減しているが、正直なところ、これで会社が潰れそうでも私のせいではないと、ある意味今までより気が楽になった。実はそんなに必死で仕事をしたくなかったのかも。自分を働きアリだと思っていたのに、限りなくキリギリスだった(44歳女性、会社経営)
パワハラ→うつ→休職→退職となり、直後にコロナ。再就職がより困難になった。不安は確かに増したが、逆にむしろ引きこもりを求められる世の中になっていることに、なぜか救われた気持ちになっている(54歳男性、退職直後)
無職であることの焦りがなくなった。就労意欲がなくなった (30代女性、独身、無職)
リハビリをしつつも復職時期を悩み、自分の立場を考えるほど不安になる日々がありましたが、外出自粛が望ましいとされてからは、むしろ気が楽になりました。「自宅にいる」という、いますべきことが明確に提示されて、それをきちんと実行しているので、いまの自分をより肯定的に捉えることができるようになりました(うつにより休職中)

 

5月12日の厚労省の発表によると、今年4月の自殺者数は前年度よりおよそ20%も少なくなったそうだ。当然のことながら私たちはロボットではないので、心身に不調をきたし、毎日同じように働けなくなる、通学できなくなるなどということは本来誰にだって起きることだ。

が、普段の社会では大人たるもの、いかなる状況にあろうと自力で対処するべき、という過剰な自己責任論がはびこっている。決して少なくない人が、コロナ禍ほどの事態が起きてようやく自分の不遇を環境のせいにでき、肩の荷を下ろせるというこの現実を、私たちはどう受け止めるべきだろう。

業種、職種ごとに見えてくる意外な変化

アンケートからは、専門職として働く人たちからの声も寄せられた。

〇専門職として働く人たち
普段は多くの方がいらっしゃるお宮も参拝者が激減し、多くの御結婚式がキャンセルになりました。大きなお宮は今までの参拝者からの奉納金等で生活費は凌げるでしょうが、地方のお宮は他の業界の方々と同じように存続の危機に立たされていると思われます(巫女)
ドラッグストア勤務です。他店ではマスクが無いことでお客様に怒鳴られたり什器を蹴られたりしているようですが、私は幸いまだそこまで怖い目には遭っていません。たぶん私が見た目も中身もおばさんだからかな? お客様対応で怖い思いをしているのは若いアルバイトが多いようですね。自分より年下になら何を言っても雑な態度を取ってもいいっていう考えの人がこんなに居るとは、嘆かわしいです(アラフィフ独身子無し女性、調剤のできない薬剤師)
本業はジムでパーソナルトレーナーとして勤務してました。大体月収手取りで40~50万円程。 コロナの影響で仕事が1~2割しかなくなりこのままだと生活がヤバそうと危機感を感じてアダルトチャットの副業を自宅でスタート。 タイミングが良かったのかなんとチャットでの給料はトレーナーの時の3倍に……。 現在自粛中もチャットを自宅で続けてますがコロナの影響でむしろ収入増えてラッキーでした。 コロナが落ち着くまでは自宅でチャットをして生活防衛費を貯めつつ引きこもるつもりです(36歳、都内在住、独身)
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