ホンダ、中国の回復本格化でも拭えない不安 収益柱のアメリカが持ち直すのは夏以降か

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資金繰りの手当はできつつあるとは言え、ほとんどの地域で販売回復の見通しは立っていない。ホンダの今期を占うのが、中国とアメリカの動向だ。ホンダの世界販売台数(2019年度479万台)のうち、アメリカ(32%)と中国(30%)の両国だけで6割を占めるが、この世界2大市場は現時点で明暗が分かれつつある。

コロナ収束の中国では急激な増産

「いまは急激な増産体制に入っている。5月以降では、コロナ前にホンダから提示されていた生産計画も上回る水準だ」。あるホンダ系部品メーカー幹部は、ホンダがここに来て中国での生産挽回を加速させている現状を打ち明ける。

生産を再開した中国・武漢にある東風ホンダの工場(写真は2017年のもの、編集部撮影)

新型コロナの影響で2~3月に中国の工場が一時停止した日系メーカーの中でも、コロナ発生源とされる武漢に主力工場を持つホンダはとくに影響が大きかった。トヨタ自動車が3月末までに中国全工場で生産を正常化させた一方で、ホンダは武漢で3月11日に生産を再開したものの、部品のサプライチェーン(供給網)の寸断などによって低稼働率が続き、正常化までに時間を要した。

中国の新車市場全体はいま、急激に立ち直りつつある。中国全体の4月の新車販売は前年同月比4.4%増の207万台で、2018年6月以来22カ月ぶりに前年同月を上回った。1~3月に購入できなかった消費者が集中しているほか、政府による販売補助金の支給やナンバープレート発給制限の緩和など公的支援策も効果を上げている。

ホンダも広州工場が3月末、武漢工場が4月中旬にはコロナ以前と同様のフル稼働に回復した。トヨタや日産自動車などが4月に前年同月比でプラスに転じる一方で、武漢工場の正常化に時間がかかったホンダの4月販売台数は前年同月比9.5%減の11万3000台とやや出遅れ気味だ。

しかし、2月(同85.1%減)や3月(同50.8%減)に比べると大きく改善している。倉石誠司副社長は「市場は活発化してきており、受注も非常に好調に推移している」と手応えを口にする。

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