「新型コロナウイルスの感染拡大でホンダも大変厳しい環境にある。算定が困難なため、今期業績見通しは開示を見送らせていただく」。ホンダが5月12日に開いたオンラインでの決算説明会の冒頭、八郷隆弘社長は厳しい表情で陳謝した。
ホンダが同日発表した2020年3月期決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が14兆9310億円(前期比6%減)、営業利益が6336億円(同12.8%減)で減収減益だった。ホンダは海外子会社の決算期が本体と同じであるため、新型コロナによる影響は2020年3月期から入ってくる。外出制限・自粛による販売減少などが響き、営業利益を1300億円下押しした。
「当面の資金繰りは問題なし」
一方で、2021年3月期の業績見通しは未定とした。新型コロナによる生産停止や販売激減による影響がどこまで拡大するか現時点では想定できないためだ。期初で業績見通しを未定で発表したのは、東日本大震災直後だった2012年3月期以来だ。
コロナの第2波、第3波の襲来による販売低迷の長期化を見据え、手元資金の確保にも動いている。3月末までに社債とコマーシャルペーパーで計2000億円を調達。これによって、2020年3月末時点の現金と現金同等物は2兆6700億円となり、リーマンショック後の2009年3月期末(6900億円)比で4倍弱まで膨らんだ。
4月にも主要取引銀行から2000億円の短期借り入れを受けており、竹内弘平専務は「当面の資金需要はまかなえる」との認識を示した。さらなる資金需要があれば、追加での社債発行や借り入れも検討していくという。
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