地位の低い人ほど、寄付をしがちな根本理由

社会の平等度の違いで金持ちの行動も変わる

ピフはまた上流階級と下層階級の特権意識も調べている。

上流階級の人々は下層階級の人々より、自己愛人格尺度にある特権意識の心理学的項目(サンプル質問は「正直に言って、私は他人より優れていると感じている」)で高い点数が出た。彼らはまた部屋に1人でいて誰も見ていないと思ったときには、鏡に映った自分の顔を見て時間を過ごすことが多いという。

対照実験においては、自分の所有物でもないのに自分のものにして利益を得ようとするという文章を読んだ後で、自分も同じことをするだろうと答える確率は、下層階級に比べ上流階級の人々のほうが高かった。

これはそう答えることで研究者が自分をどう思うかについて上流階級の人々はそれほど気にしないせいかもしれないが、就職試験の面接において都合の悪いことを隠すかどうかという質問に対しても、上流階級の人々ほど他人にうそをつく割合が高かった。

上流階級の人々はまたサイコロゲームでもごまかしをする比率が高かった。あるいは、そのキャンディーは近くの実験室にいる子どもたちのものだと言われても、それを食べてしまう割合も高く出た。

善良な精神に働きかけるだけで自己愛は抑制できる

ピフの調査によれば、私たちは人の善良な性質に働きかけることで、その人の非倫理的、反社会的、自己愛的な行動特性を変えることができる。

被験者が“貪欲こそが善”という命題について考える前段として、まず平等主義の利点を3つ書き出さなければならない場合では、上流階級と下層階級の間で非倫理的行動に対する考えにほとんど違いはなかった。

研究によれば、社会階層によって違いが出てくるのは、非倫理的な行動をどこまでやれるかという量の問題より、義務を遵守するか否かといった姿勢の問題であった。

どの研究者も、上流階級の被験者に平等主義の価値を考えさせることで、その自己愛を低下させることができた。

被験者は、自己愛人格尺度のテストを完了する前に、2つのグループに分けられた。1つのグループ(「平等主義者」)は、他人を平等に扱うことの利点を3つ書き留めるよう求められた。2番目のグループ(「対照グループ」)は日常生活で行っている活動をそのまま3つ書き留めるよう求められただけだった。

日常生活の活動をそのまま書くよう言われた2番目のグループでは、上流階級の人々に自己愛の増大が見られたが、平等主義の価値について考えるよう求められた最初のグループでは、上流階級の人々の自己愛は大幅に低下した。

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