北の脅威を一気に高める新兵器「KN-09」 射程距離は180~200キロ。韓国はお手上げ状態
北朝鮮が2月21日と3月4日に発射した、新型の300ミリ多連装自走ロケット砲(MRL)の「KN-09」に、米韓の軍事当局が一段と危機感を募らせている。北朝鮮軍がこの大口径の長距離砲による一斉放射で韓国軍や在韓米軍の心臓部に先手必勝の奇襲攻撃を仕掛けた場合に、現実的な迎撃策がないとみられているからだ。
KN-09については情報が乏しく、ロケット砲ではなく誘導システムを備えたミサイルではないか、との見方も軍事専門家の間にある。いずれにせよ、射程距離を伸ばし、命中精度や威力を増した北の新兵器が登場した。日本の防衛当局者も情報収集に追われている。
北朝鮮は2月21日と3月4日の両日、日本海に面する南東部の元山(ウォンサン)に近い葛麻(カルマ)半島の発射場から、北東の日本海の公海上に向け各日に4発、合計8発を発射した。
韓国国防省は155キロメートル程度飛行したとみている。また、KN-09を含めた、ここ数カ月の一連のミサイルやロケット砲の発射の目的については、2月24日から3月6日まで続いた米韓による合同軍事演習「キー・リゾルブ」に対する意図的な挑発と分析している。
首都だけでなく在韓米軍基地をも射程に
KN-09の最大の注目点は、射程距離の長さだ。KN-09の登場以前、北朝鮮の朝鮮人民軍が保有するMRLや野戦砲の中で最大で最長の射程距離を誇っていたのは240ミリMRLだった。その最大射程距離は60~65キロメートル。韓国の首都ソウルは、南北分断ラインの北緯38度線から約50キロメートルしか離れていないため、北朝鮮は北緯38度線付近に240ミリMRLを配備すれば、優に韓国の首都ソウルを射程に収めることができた。しかし、ソウルより南に広がる韓国領土の大部分は射程外となっていた。
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