コロナ禍の「アルコール依存」から身を守る方法 健康や家庭を壊さない飲酒習慣の基礎知識

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――飲酒量を抑えるために、効果的なことを教えてください。

1日の飲酒量の上限を決めて、日々記録していくことが大事です。飲酒量の上限は、厚生労働省のガイドラインである、純アルコール1日20グラムを目安にするのがよいでしょう。この量であれば、健康リスクがそこまで高くありません。

【1日の飲酒量の目安】
ビール:中ビン1本(500ml)
日本酒:1合(180ml)
チュウハイ(7%):350ml缶1本
ウィスキー:ダブル1杯(60ml)
※厚労省「健康日本21」より

ただ、週に2日は飲まない日を作ってください。肝臓を休ませる意味で休肝日と言いますが、脳にもいい影響があります。毎日飲んでしまうと、脳がアルコールを欲するようになり、依存症への近道です。また、お酒なしでは眠れない状態にもなってしまいます。

これらを踏まえて、カレンダーなどに、日々の飲酒量を記録していきます。お酒を飲まなかった日は◎、1日の上限を超えなかった日は〇、守れなかった場合は×というふうに。すると振り返ったとき、◎や〇があるとうれしいので、増やそうという気持ちになっていくんです。

お酒の買いだめをせず、飲酒時間のルールを設定

――ダイエットのように、何となくするのではなく、目標を決めて記録することで成功率が高まるのですね。ほかにはどんなことが効果的ですか。

お酒の代わりに炭酸水や冷たい麦茶を飲むと、飲んだ気になって気がまぎれます。お酒を飲むとしても、「19時より前には飲まない」など、開始時間のルールを設けることも効果的です。

あとは、お酒の買いだめをしないこと。家にたくさんあると、ある分だけ飲んでしまいかねませんから。ストックがある場合でも、その日に飲む分だけ冷蔵庫で冷やすようにしましょう。飲む前にご飯を食べて、おなかいっぱいにしておくことでも、飲みたい気持ちを抑制できます。

お酒を控えたいと思っている方は、読みたい本を読んだり、見たい映画やDVDを見たり、資格試験の勉強をしたりと、今だからできることに目を向けてみてはどうでしょうか。外に出られなくても、お酒以外の楽しみを見つけ、目標を持って過ごせば、日々にメリハリが生まれやすくなります。それでも、どうしてもお酒を減らすことができなかったら、お近くの精神保健福祉センターへ早めに相談してください。

肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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