経理部は「完全リモートワークで決算」できるか

マネーフォワード経理部隊が挑んだ高い壁

中でもポイントだったのが、取引先から紙による請求書をもらわないようにすることだ。税務上必要な書類の電子管理の方法を定めた電子帳簿保存法では初めから電子ファイルで請求書をもらっていれば、保存要件が緩和され、紙を介する必要がない。

また、請求書が紙だったとしても、その金額を事前に確認しておけば、原本が手元に届いていなくとも会計上は引当金として計上して決算を締められる。税務上は原本が必要になるため、後から回収する。

請求書はPDFデータを取引先に要請

「原本に社印がなければ請求書として認めないという慣習は大企業を中心に多い。以前から当社では取引先に対し、できる限りPDFデータなどの電子ファイルでくださいということを現場に強くお願いしてきた。効率化を目指してやってきたことが、結果としてリモートワークで生きた」と松岡氏は説明する。

こうした経費データや売り上げデータは会計ソフトに入力される。マネーフォワードや「freee(フリー)」のようなさまざまな機能が統合されたクラウド会計ソフトの場合、請求書などで入ってきた金額のデータが自動で取り込まれていく。この過程において、主に厳格な内部統制が求められる上場企業で必要となるのが、仕訳の承認だ。売り上げや経費が適切な勘定項目に振り分けられているかを確認する。

「マネーフォワードクラウド会計Plus」における仕訳帳の画面(画像:マネーフォワード)

従来のやり方では、上長が仕訳を承認する際、仕訳帳を紙に印刷し、根拠となる帳票(証憑<しょうひょう>)を貼りつけて押印して承認していくことが多かった。ただマネーフォワードではこの2月に、電子的に仕訳承認ができる機能を付加した上場企業向けの「クラウド会計Plus」を発売。自社の経理業務にも導入した。

マネーフォワードでは現在、証憑類をクラウドストレージに保存し、一つ一つのファイルに割り振られたURLをクラウド会計Plusの中に仕訳とともに記録している。

現場の担当者がそれを社内で申請し、承認側の上長が証憑類を一つ一つクラウド上で確認し承認するというプロセスになっている。物理的な紙のやり取りは一切発生しない。結果的に「決算業務は予定よりも早く終わった」(松岡氏)という。

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