日産はここ2、3年、新型車が乏しく販売不振が続いている。新型コロナの影響がまだ小さかった1月でさえ、世界の販売台数が前年同月比13.3%減だった。その後、中国で感染が急拡大した2月は24.2%減、3月は42.6%減と減少幅が急激に拡大している。
月次の世界販売台数を公表しているトヨタ自動車(子会社のダイハツと日野自動車除く)は1月1.4%減、2月3.7%減、3月23.8%減で、日産との販売力の格差が如実に表れている。
生産能力と人員の削減積み増しは不可避
5月28日に開かれる日産自動車の2019年度決算発表の場では、見直しをした中期経営計画も同時に公表される予定だ。
カルロス・ゴーン会長(当時)時代の拡大路線を否定し、現状の実力に見合った事業規模にまで生産能力や人員、車種数を縮小・削減する基本路線は継承するとみられる。見直し中の中計では2022年度の世界販売500万台程度を前提とした生産体制の合理化策が検討されているもようだ。
しかし、2019年度(販売台数479万台)でさえ500万台を下回っており、新型コロナの影響で販売が減る今年度はさらに差が広がる。イギリスの調査会社、LMCオートモーティブは、2020年の世界全体の新車販売が前年比20%減の7140万台になると予測している。年と年度の違いはあるが、これを日産の販売台数に単純に当てはめると、400万台弱程度にまで落ち込むこともありえるわけだ。
見直しを進めている中計は2020~2022年度の3カ年が対象になる。新型コロナによって、前提販売台数のスタート地点が当初予定より大幅に引き下げられるのが確実になる中、生産能力と人員の削減を積み増すことは不可避な情勢だ。2019年12月に就任した内田誠社長がどこまで大規模なリストラに踏み込めるかがが、最大の焦点となる。
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