「高血圧」40代以上なら特に注意が必要になる訳 脳梗塞などさまざまな病気と関わりがある

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冒頭に高血圧の基本的な定義を示しましたが、 じつは、さらに細かく分かれており、そのレベルによって行われる治療も変わってきます。

血圧値の分類(図表は本書より引用)

正常高値血圧は高血圧予備軍でもあります。脳梗塞や心筋梗塞は、正常高値のレベルであっても、少数ではありますが発症してしまうことがありますので、油断はできません。

ですから、血圧がやや高めな人は40代から対策を進めたほうがいいでしょう。

治療法の基本は生活習慣の改善です。これは予防法とも共通しています。

食塩の制限や運動で血圧は改善できる

生活改善をしても効果があらわれない場合は、降圧薬による治療をはじめます。血圧がかなり高い場合や、心筋梗塞など重大な病気のリスクが高いと判断されれば、すぐに投薬治療をはじめる場合もあります。

まだ薬を飲まなくてもよい程度の正常高値血圧の状態であれば、食生活の改善や運動で対処できます。

まず挙げられるのが食塩の制限です。日本高血圧学会では 1 日 6g未満を推奨しています。しかし、これはかなり難しい。会社勤めをしていると、どうしても外食が多くなるからです。市販の弁当などにも食塩が含まれています。 「ナトリウム( Na ) 2g」と表示されてあっても、食塩である塩化ナトリウム( NaCl ) の量に置き換えると、 2.5 倍する必要があるので、 5gになります。

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つまり弁当 1 食分だけで、ほぼ 1 日分の食塩量を摂取してしまうことになるのです。弁当を自分で作っている方は推奨レベルを試されるとよいと思います。

とはいえ、やはり 1 日 6g未満は厳しい。そういう場合には、摂取した塩分を体の外に出すこと。たとえば果物や野菜といった利尿作用のあるものを食べるのが効果的です。すると、尿と一緒に塩分を体外に出してくれるわけです。

あとは運動です。高血圧学会は 1 日 30 分の有酸素運動を週 5 回行うことを推奨しています。これも厳しい、そんな時間はない、と思われる方もいるでしょうが、ぜひ日常の中に取り入れてください。

荒井 秀典 国立長寿医療研究センター理事長

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あらい ひでのり / Hidenori Arai

1984年、京都大学医学部卒業。同大大学院医学研 究科博士課程修了。同大大学院教授などを経て、 2015年から国立長寿医療研究センターへ。副院長、 病院長を経て、2019年から現職。専門領域は老年 医学一般、フレイル、サルコペニア、脂質代謝異常。

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