ベンチャーだけではなく、上場企業でも長年在宅勤務制度を導入している会社がある。ソフトウェア会社のサイボウズは2010年8月からテレワーク制度を段階的に導入し始めた。広報担当者によると「最初は試行錯誤の連続だった」という。導入前には、成果の判断や、勤務時間と働き方の管理、コミュニケーションの図り方などが懸念事項として挙がっていた。
出勤時と違い、メンバーの姿が見えないと「本当に仕事をしているのか」という悩みが発生する。サイボウズでも一度は成果報告を求めたというが、「会社で働いているときには求められないのに、なぜ在宅勤務のときだけ求められるのか」という声が社内から上がったという。
そこで代わりに在宅勤務の権限を上長に預け、在宅による仕事の生産性の低下が見え、かつ改善されなければ在宅勤務を認めないようにしたという。「こまめに報告させるべきかどうかも含めて、上司と部下間で認識合わせをし、信頼関係に基づいた運用をすることが大切だ」(サイボウズ広報)。
積極的な情報共有で仕事も「見える化」
また「積極的な情報共有で、仕事の見える化をする」のも解決法だ。サイボウズの場合はグループウェア上での情報共有を基本としているため、社内のコミュニケーションや資料のアップロード状況などまでわかるという。
「強制ではなくあくまで自主的なものだが、業務開始時に今日のタスクをグループウェア上に書き込んだり、終了時に日報を上げる社員もいる。また『分報』という社内ツイッターのような感覚で気軽につぶやく仕組みもある」(サイボウズ広報)。分報では「タスク完了」「ちょっと休憩」「行き詰まった」など軽い呟きが行われ、業務だけでない社員の様子も見ることができる。
またコミュニケーション上の誤解や齟齬(そご)を防ぐため、表情や声がわかりやすいウェブミーティングなど、状況に応じて複数ツールを使いわける。サイボウズでは仕事の評価軸を働く場所や時間ではなく、アウトプットを重視。そのためにも社員にはオープンな情報共有が求められている。
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