PCR躊躇しまくった日本がこの先に抱える難題 市中も院内も感染蔓延、割を食うのは国民だ

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その後、厚労省は一貫してPCR検査を抑制してきた。当初から政府の専門家会議は、「すべての感染者を見つけるのではなく、クラスターさえ見つけていれば、ある程度の制御ができる」「PCRの検査を抑えていることから日本は踏みとどまっている」という認識を示してきた。

しかし、偶然みつかった患者に接触した人をいくら検査しても、そこから一般化して流行状況を推測することはできないし、「本当にすべての感染者を見つけよう」などと誰も求めていない。

そもそも、そんなことは無理だ。多くの医師は「発熱して、新型コロナウイルスの感染の可能性がある人は検査をさせてほしい」と希望しただけだ。院内感染が起こってからは、「すべての医療スタッフと患者に検査を受けさせてほしい」と希望が拡大した。

これはおかしなことではない。感染症対策の基本は検査と隔離だからだ。3月16日、WHOが「疑わしいすべてのケースを検査すること。それがWHOのメッセージだ」と発信したのは、このような背景がある。

一方、厚労省や専門家会議は、「クラスター戦略」という自らの主義主張にこだわった。

院内感染の致死率はケタ違いに高い

PCRを抑制したことで、少なからぬ人たちが命を落とした。4月11日現在、東京の永寿総合病院(東京都台東区)で感染した入院患者20人が死亡している。院内感染の致死率は20%を超える。今後も院内感染に端を発した感染者の死亡は相次ぐ可能性がある。ますます、致死率は高まってしまいかねない。市中で若者が感染したときの致死率は1%以下。これでも決して低いとは言えず、死者も一定数出てしまうので市中の感染対策ももちろん不可欠だが、はるかに致死率の高い院内感染対策がいかに重要かわかるだろう。

ちなみに4月14日時点の国内の死者数は162人。院内感染の死者は36人で、高齢者施設を入れると64人となる。実に死者の4割にも及んでいる。日本の致死率を減らすのは高齢者施設を含む院内感染対策にかかっていると言っても過言ではない。

超過死亡の数字をみれば、このような形での死亡は、2月から起こっていた可能性がある。

専門家会議は院内感染には関心がないように見受けられる。4月15日の記者会見で、対策がなければ最悪の場合、40万人以上が死亡するというシミュレーション結果を発表し、「感染拡大の防止には人との接触を減らすことが有効だ。外出を極力控えて人との接触をできるかぎり避けてほしい」と求めた。

彼らは感染者数から重篤化する患者数、および死者を推計している。その際、「人工呼吸器が足りず、必要な治療が受けられなくなり、中国でも重篤患者の半数が死亡しているという研究」の存在を考慮したようだが、都市機能が崩壊した湖北省と日本を同列に議論するのは適切だろうか。

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